コロナ禍の修学旅行 受け入れ 見通し立たず 4~8月、ほぼゼロ

沖縄方面への修学旅行が変更となり長崎市で平和学習をする大阪の中学生=長崎市、平和公園

 長崎県内多くの小中学校が修学旅行の実施時期や行き先について模索を続けている。ただ、出発直前に中止や延期を決めると、キャンセル料が発生する場合もある。市町でキャンセル料を補助する方針を示しているのは24日時点で佐世保市、島原市、諫早市、平戸市、松浦市、対馬市、五島市、西海市、雲仙市、南島原市、西彼時津町、北松佐々町の12市町。東彼波佐見町は3密対策でバスを増便した分の経費を補助する予定という。
 一方、県内の各自治体は例年、全国各地から修学旅行生を受け入れてきた。長崎市の長崎国際観光コンベンション協会によると、昨年度は東京や大阪などから約2千校、約27万人の修学旅行生が同市を訪れた。本年度は4~8月の受け入れ校はほぼゼロになったが、秋以降へ先送りしたケースも多い。また、他県を訪れる予定だった学校が同市に変更した分もあり、6月時点で秋の宿泊予約状況は前年同月比で約1.5倍に増えたという。同市を訪れる修学旅行生は徐々に回復しつつあった。
 だが、秋の予約もさらに冬へ延期したり、中止になったりするなど状況はいまだ流動的だ。同協会担当者は「来年1、2月に延期になった分で、どこまでカバーできるか。各校が様子見の状態で、見通しが立たない」と頭を抱える。
 体験型旅行の民泊で昨年、約2万人を受け入れてきた松浦市のまつうら党交流公社は8月、修学旅行の受け入れを本年度末まで中止することを決めた。その後に沖縄県など約40校から打診があったが、全て断ったという。担当者は「民泊の受け入れ世帯には高齢者が多い。感染リスクを考えると、他県からの訪問は慎重にならざるを得ない」と胸中を明かした。


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