県内大学で後期開始 「対面授業」増加へ 学び確保、模索続く

28日に後期が始まった長崎大。対面授業を再開した教室では学生が2席ずつ空けて着席した=長崎市文教町

 今春の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、長崎県内の大学でも広がった「オンライン授業」。長崎新聞社が県内8大学(4年制)に取材したところ、オンラインを導入した全ての大学が後期からは従来の「対面授業」を増やしていく方針であることが分かった。オンラインと対面を併用する「ハイブリッド型」の取り入れも進むなど、各大学が学生の学びの確保に向けた模索を続けている。
 文部科学省は15日、全国の大学に向け、学生同士や教員とのつながりも教育の重要な要素とし、感染対策を講じた上で対面授業の再開を促す通知を出した。
 県内の大学は10月1日までに後期がスタート。約9千人の学生が在籍する長崎大は、3月時点でオンラインの方針を固め、前期は約80%の授業で取り組んだ。9月28日に始まった後期の授業は大半をハイブリッド型に移行する。同大の相談窓口には、前期の登校が少なかった新入生から「友人ができない」など不安の声も届いているといい、心のケアにも力を入れる。
 県立大(佐世保校、シーボルト校)は、5月上旬から9月上旬まで原則オンライン授業を実施した。後期は60%を対面に戻し、15%はハイブリッド型、残りの25%はオンラインを継続する見通し。学生からは対面を望む声が寄せられた一方、「時間と場所を選ばない」としてオンラインを好意的に受け止める声も少なくなかったという。
 長崎純心大は、前期から引き続きハイブリッド型を主に据える。担当者は「対面とオンラインの授業で内容に差が出ないように努力している」。活水女子大も併用を続け、10月1日以降は対面を増やしていく予定だ。長崎国際大は「可能な限り対面に」。前期はオンライン中心だったが、新入生に配慮して、6月から1年生の一部授業を対面にし、他学年も実験や実習は通常授業に戻した。
 長崎外国語大や理系の長崎総合科学大は、科目の特性から前期途中からほぼ全ての授業を対面で行った。感染対策にも注意を払い、両大学とも県外在住の教授らの授業はオンラインで実施するなどしている。
 長崎ウエスレヤン大は「一つの授業で30人程度。密になりにくい環境を確保できる」として当初から対面授業を続けている。オンライン授業にすると、理解度を確認するためのリポート課題が出るなど、学生の負担が増える懸念もあるという。今年は台風による休校もあり、担当者は「あらゆることが異常な年。後期は順調に進んでほしい」と話す。

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