「五島版RE100」創設へ ブランド確立、商品価値高める

五島版RE100の認証イメージ

 事業活動で使う電力の全てを、再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的な枠組み「RE100」。産官学でつくる五島市再生可能エネルギー産業育成研究会(清瀧誠司会長)は、市内企業の再エネ利用を進めようと「五島版RE100」の創設に向けて動きだした。条件を満たす企業を認証して五島独自のブランドを確立し、企業や商品の価値を高める狙い。こうした地域版を自治体が進める事例は他にもあるが、民間主導の取り組みは全国でも珍しいという。
 RE100は「Renewable Energy(再エネ)100%」の略。国際非政府組織(NGO)が2014年に発足し、米マイクロソフトや米グーグル、国内ではリコーやイオン、富士通などが加盟して将来的な二酸化炭素(CO2)排出量削減を目指している。東京都や埼玉県所沢市などの自治体も近年、地域版のRE100を設けた。
 こうした取り組みが世界的な潮流となる中、同研究会は数年前から、五島版RE100の創設を検討。認証企業は「五島産の再エネを使い、CO2排出はゼロ」と表示できることになり、消費者や投資家へのPRや、環境意識の高い他の企業との取引継続にもつながると考えた。島内では既に、太陽光や風力による再エネ発電量が消費電力に占める割合(再エネ自給率)が50%を超えており、五島版RE100を創設する素地がある。
 同研究会は9月、「五島版RE100創設委員会」を設立。初会合で、長崎県五島市内の商工団体や県市、民間企業などが委員となり、制度内容を検討していくことを確認した。
 事務局案によると、五島版RE100の認証は、使っている電力が(1)五島産(2)CO2排出ゼロ(3)再エネ100%である-を条件とし、認証機関の福江商工会議所が年に数回の認証委員会を開いて可否を決める。(1)は新電力会社の五島市民電力が五島産電力を販売するメニュー「ごとうの電気100」に契約することで、(2)と(3)は国が認証したCO2吸収・削減量「Jクレジット」を県を通じて購入することで、それぞれ条件を満たせるという。本年度は3社でモニター事業を始め、来年度は10社程度の認証を目指す。
 同研究会は認証ロゴなども作成する考え。清瀧会長は「五島版RE100によって事業所の価値を上げ、五島に新しいブランドをつくる」と意気込む。

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