教育現場の研修加速 「GIGAスクール構想」で業務効率化期待

 児童生徒に1人1台のパソコン端末を整備する政府の「GIGAスクール構想」の導入に向け、県教委や各市町教委の担当者などは教育現場の育成を急ピッチで進めている。
 9月下旬、各市町教委の担当者約40人が参加した「教育の情報化推進協議会」。情報通信技術(ICT)を活用した教育に取り組む東京や福島県の自治体から事例報告があったほか、文科省の担当者と直接オンラインでつなぎ、GIGAスクール構想などについて学んだ。
 同構想ではインターネットを活用した遠隔授業や、グループ学習での情報共有の効率化といった使い方が期待されている。政府は当初、2023年度までに全国の小中学校に配備する方針だった。しかし、新型コロナウイルスの影響で全国的に休校が相次いだことで4月、目標を大幅に前倒しし、本年度中に端末整備を完了できるように関連予算を追加計上した。
 政府方針を受け、県内各自治体もパソコン端末の導入を前倒し。本年度中には全小中学校の児童生徒と教員の9割以上に当たる約9万9千台を配備する予定だ。
 端末配備が加速的に進む一方で、県教委は「運用側にも意識改革が必要」として研修を急ぐ。9月の同協議会では、児童らの学籍情報や成績、保健記録などを電子化した「統合型校務支援システム」の説明もあった。同システムを活用することで教員らの業務効率化を進め、働き方改革につなげたい考え。県教委担当者は「不慣れな教員には迷いもあると思うが、しっかりとサポートしていきたい」としている。
 各市町では民間のICT支援員などを配置して、現場教員の指導や支援を続ける。ある市教委担当者は「学校だけが紙とえんぴつの世界で、ICT化の波から取り残されていた。子どもたちにとって既に必要不可欠な技術になっており、乗り遅れないように準備を進めていく」と力を込めた。

 


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