雲仙温泉街の地熱資源調査 地熱発電による温泉への影響検証 長崎大

雲仙温泉の地下構造を調べる電磁探査機器を設置する後藤教授(左)=雲仙市小浜町雲仙

 雲仙市の温泉街などの地熱資源保護・活用事業で、市から調査委託を受けた長崎大は、雲仙温泉地区での地下構造調査を終えた。調査は電磁探査のノウハウを持つ兵庫県立大の後藤忠徳教授=地球科学分野=が協力して9月上旬から83地点で実施。後藤教授は「住民が感覚的に知っている源泉の状態に、科学的な根拠を加えることができる」と話している。
 事業は、源泉の実態把握や無秩序な地熱発電を抑制する条例制定を目的に、市が長崎大と協働で来年9月末まで実施する。温泉街などがある市西部地域(雲仙温泉、小浜温泉、千々石岳地区)の地下構造の把握、通年のモニタリングを実施して100カ所以上ある源泉の位置や温度、成分などを記した台帳を作成。調査結果は地域住民に報告し、地下資源保護などを検討する。
 千々石岳地区では複数の地熱開発業者が関心を示していることから、調査結果は、開発を実施した場合に温泉に影響が及ばないかを検証する基礎データとしても活用する。
 今回の地下構造調査は、雲仙温泉地区(約1.5平方キロメートル)内の83地点で実施。各地点の地表に電磁探査機器などを置き、30分かけて地下約50~500メートルの地下水と地質のデータを収集した。今後データを解析して地下構造を立体的に把握できるようにする。活断層の位置データを組み合わせると地下から熱水が上がってくる経路を推測できるという。
 来年2月には千々石下岳地区でも同様の調査をする。

 


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