新聞配達

 早起きは昔から苦手だが、高校生のころ1度だけ友人の新聞配達について行ったことがある。張り切っていたものの、慣れない早起きと坂道の連続に途中でへばってしまった▲日本新聞協会が募集した「新聞配達に関するエッセーコンテスト」で、県内から海星高2年の廣瀬絢菜(あやな)さんが審査員特別賞、精道三川台小2年の久原轟大(ごうだい)君が優秀賞を受賞した▲詳細は1日付の本紙で紹介しているが、廣瀬さんは長年配達をしていた祖母との思い出をつづった。新聞の量が多い大みそかの夜、祖母を手伝い家族総出で配達したというエピソードがほほ笑ましい▲4年前に亡くなった廣瀬さんの祖母。毎日坂道を歩き、家々を回っていたことだろう。坂道に座り込んだわが身を振り返ると恥ずかしいばかりだ▲ポストからいつもはみ出ている新聞がニコッとあいさつしているように見えるというのは久原君。月に一度、あいさつがないのがショックだという。新聞休刊日は配達員さんたちの貴重な休みなので分かってほしいなと思いながらも、がっかりする久原君を想像して、ちょっと申し訳ない気持ちになる▲きょうは新聞配達の日。寒い日も暑い日も早朝から配達する人がいて、新聞が届くのを楽しみにしてくれる人がいる。しっかりと新聞をつくらなければ、と心に刻む。(豊)


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