楽天は「なりふり構わず勝ちを…」 元オリ監督が指摘する大逆転CSへ求められる大胆戦術

楽天・三木肇監督【写真:荒川祐史】

「中継ぎ陣の整備と戦術を交えた攻撃が必要」

■楽天 2-2 オリックス(20日・楽天生命パーク)

楽天は20日、本拠地でオリックスと2-2で引き分け、連敗を4で止めることはできなかった。これで残り16試合で2位ロッテとのゲーム差は5。4位だった西武が勝ったため、同率3位で並んだ。今季の楽天は序盤は首位を走りながらも、後半戦で失速し、3位に甘んじている状態。元オリックス監督で、ソフトバンク、巨人、中日でもコーチを務めた野球評論家の森脇浩司氏は、失速の要因は「中継ぎ陣が勝ちを逃す試合が多かったから」だといい「これからは順番にこだわらず、ブルペン陣が総力戦で臨機応変に対応していくことも必要」と話した。

楽天はこの日、先発の則本昂が7回1失点の好投。打線が6回にオリックス先発山本から2点を奪い、逆転に成功すると、8回に10月からリリーフに戻った松井を投入。9回には守護神ブセニッツを送り込み、逃げ切りを図った。だが、ブセニッツが先頭の伏見に左越え同点ソロを献上。牧田が延長10回を抑えたが、掴みかけていた勝ちを逃し、引き分けに終わった。そして、この日の楽天の戦い方を見た森脇氏は、今季の楽天が勝ちを逃している典型的なパターンだと指摘した。

「楽天は今季、リリーフ陣が打たれて勝ちを逃す試合が多かったが、この日の試合を見て、改めてその課題が残っていると感じた。この日は抑えのブセニッツが伏見に本塁打を打たれた。まずは打った伏見を褒めたい。しかし、9回1点差で一発がある打者にカウント1-0から投じるストレートにしては非常に中途半端な球に見えた。ブセニッツが優秀な投手であることには変わりない。しかし、残り試合を考えると痛い引き分けだった」

今季、楽天は開幕ダッシュに成功し、6月を7勝3敗と好スタートを切ると、7月には首位に浮上。その後、1度は首位の座を明け渡したが、8月上旬に再び首位に返り咲いた。だが、その後は9月を12勝14敗、10月もここまで6勝8敗2分と負け越しており、このままではクライマックスシリーズ出場が厳しいどころか、Bクラス転落の可能性も出てきた。

2か月連続負け越し中も2位ロッテと直接対決3試合「もう1度活発な楽天の攻撃を見てみたい」

森脇氏は今年の楽天の戦いぶりについて「楽天が序盤から首位にいたのは涌井が奮闘し、自慢の強力打線とブルペンが機能したことが挙げられる。だが、途中から中継ぎ陣が勝ちを逃していく試合が増えていったことで、こういう状況になった」と分析。残り16試合でクライマックスシリーズ出場圏内の2位に浮上するには、大型連勝が絶対条件で「楽天は残り16試合を驚異的な勝率で勝っていかなければいけない」という。そして、その中でリリーフ陣の奮起が必要という訳だ。

楽天はここまでチーム防御率がリーグ5位の4.21。一方、チーム打率はリーグトップの.257で、得点もリーグ戦トップの474。そして森脇氏は、今後、楽天が逆転でのクライマックスシリーズ出場を勝ち取るためには、リリーフ陣の登板する順番にこだわらず、ブルペン陣総力戦でいくこと、得点力の高い打線を生かすための戦術を交えた攻撃、の2つが必要だと説く。

「これからは順番にこだわらず、順不同で、なりふり構わず勝ち試合をもぎ取りにいくブルペン態勢を作る必要があるだろう。そのためにはまずは先発が試合を作り、バトンを受け継いだブルペン陣が総力戦で抑えること。8、9回は順不同で、相手の打順や相性を見ながら、臨機応変に対応していくことも必要だと思う」

そして森脇氏は攻撃についても「三木監督と野村作戦コーチは戦術を交えた攻撃を得意としている。それを組み入れていくことで打線も活気付くと思う。ペナントレースの序盤では対ソフトバンク戦で2死から小郷のセーフティーバントをきっかけに5点をもぎ取ったシーンがあったが、楽天の勢いと強さを示すには十分すぎるものだった。打線には個性溢れる打者が並んでいる。残り試合でもう1度活発な楽天の攻撃を見てみたい」と、得点を取るための相手が嫌がる攻撃の必要性を指摘した。

今季ここまで14勝7敗と相性のいい2位ロッテとの直接対決を3試合残している楽天。10月30日からのロッテとの今季最後の3連戦を前に、どういった試合を続け、ゲーム差を縮めていくのか。その戦いに注目が集まる。(Full-Count編集部)

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