地域と連携 コミュニティ・スクール導入 松浦市内初 上志佐小 地域と連携 

学校運営の基本方針や今後の活動の進め方を話し合う学校運営協議会の初会合=6月、上志佐小

 長崎県松浦市志佐町の市立上志佐小(西浦京子校長)は本年度、市内で初のコミュニティ・スクール(CS)を導入した。学校運営の基本方針などに意見を述べることができる「学校運営協議会」を設置した学校のことで、家庭、地域と連携、協働し教育環境の整備や地域づくりを一体となって進め、子どもたちの成長を支える取り組みだ。
 県教委は本年度から県内全市町でCSの導入を進める方針。同市教委は第2期市教育振興計画(2020~24年度)で、市内の小中学校16校のうち5校を目標に導入していく考え。
 上志佐小は明治初期の1875年創立の「横辺田(よこべた)尋常小学校」が始まりで、145年の歴史がある。児童数は炭鉱が盛んだった1949年には550人を数えたが、石炭産業の衰退、相次ぐ閉山に伴い激減。本年度は38人にまで減っている。
 このため、3、4年生、5、6年生は複式学級で学んでいる。学力や理解度に応じた授業、丁寧な指導ができる少人数教育のメリットはあるものの、教員の配置や学級編成、学校行事への影響は否めない。市教委はそうした課題への対策として、昨年度から隣接の志佐小校区からの特別転入制度を設け、現在9人が同制度で上志佐小に通学している。
 一方、同校では以前から「日曜参観」などの学校行事に地域の人を講師や来賓として招待。郷土料理の調理や茶の入れ方、昔遊びといった体験学習、講話などを通じ触れ合いを深める活動に力を入れてきた。
 同校のCSはこうした魅力ある学校づくりを組織的、継続的に、地域と連携、一体となって進めることを目的に、今年6月に地域の各団体代表や有識者、保護者ら15人でつくる学校運営協議会(岡本政敏会長)を設置した。
 協議会はこれまで2回の会合を開いたほか、今月9日には住民にCSへの理解を深めてもらおうと講演会を開催。また、学校、協議会と連携して地域づくりを進める地域学校協働本部(石井英治本部長)も設立し、活動を支援するボランティアの募集も始めた。
 今年は新型コロナウイルス感染拡大で学校行事などに制約が生じている。同校のCSは緒に就いたばかりだが、西浦校長は「地域と連携し、子どもたちが活躍する場をつくり、ふるさとへの思いを育んでいきたい」と今後の活動に期待を寄せる。協議会の岡本会長(62)は「子どもたちには上志佐の豊かな自然を生かした体験をさせたい。地域住民が参画しやすい体制づくりに努める」と抱負を語った。

上志佐小児童数の変遷

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