コロナ対策「推奨店舗」 長崎・思案橋市会が独自認定 感染者出たら原則公表

来客につなげようと、新型コロナ感染防止対策をPRする思案橋市会の関係者=23日午後6時57分、長崎市本石灰町

 忘年会シーズンを前に、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を徹底している店を利用してもらおうと、思案橋通り(長崎市)の飲食店経営者らでつくる思案橋市会(安部孝広会長)が独自の取り組みを始めた。同会が感染防止対策を徹底していると認めた店を「推奨店舗」に認定。感染者が出た場合は原則として店名を公表し、客の安心・安全につなげたい考えだ。
 23日午後6時半すぎ、居酒屋やスナックが立ち並ぶ思案橋通り。本来なら週末のこの時間帯は多くのサラリーマンなどでにぎわうが、行き交う車とネオンの明かりだけが煌々(こうこう)と光る。「平日はもっとひどい。ここでクラスター(感染者集団)は発生していないのに」。近くでスナックを経営する40代女性はため息をついた。
 これまで新型コロナの感染者が確認されるたびに「夜の街」「接待を伴う飲食店」というフレーズが独り歩きし、同会のメンバーも風評被害に悩まされた。「きちんと対策していてもしていない店と同じ扱いを受けてしまう」。危機感を抱いた安部会長は8月ごろから県や市とも相談の上、同会で独自のルールを策定した。
 来店時の手指消毒、客とスタッフの検温、アクリル板やフェースシールドなど飛沫(ひまつ)防止対策、換気対策のすべてを徹底した店をチェックした上で、同会のステッカーを貼りPR。61店舗まで増やし、目印となるようマップも作製する予定だ。感染者が出た場合に原則として店名を公表するとしたのは「お客さまとの信頼関係を大切にするため」と強調する。
 この日は同会のメンバーたちが路上に立ち、マスクとビラ約千セットを配ってPRした。9月の連休ごろから徐々に客足は戻りつつあるが、2次会で利用する接待を伴う飲食店はいまだに避けられる傾向が強い。「夜の街、接待を伴う飲食店こそ安全対策をしっかりしていることをアピールしたい」。安部会長はそう言って前を向いた。

© 株式会社長崎新聞社