横浜・重機落下、立ち入り想定されないタンク上で作業か コンクリ製ふたの高さまで仮置き残土

重機が落下した状況

 横浜市金沢区の小柴貯油施設跡地の公園造成地で8月、搬入した残土を重機で仮置きする作業をしていた男性作業員=当時(62)=が深さ約30メートルの地下タンク跡に落ちて死亡した事故で、崩れずに残ったタンクのふたに残土が盛られていたことが30日、市への取材で分かった。市は、男性が事故時に、立ち入ることが想定されていなかったコンクリート製のふたの上で重機を操縦していた可能性があるとみている。

 市公園緑地整備課によると、公園造成地では5月から、市の発注で施工業者がタンク跡を埋め戻すために、搬入した土を積み上げる作業をしていた。タンク跡は約25メートルが地中に埋まっていたが、約5メートルは地上に突き出る形状になっていた。市は、タンク跡から最短でも約14メートル離れた場所を残土の仮置き場に指定していたというが、事故直後は残土がタンク跡のふたの高さと同程度まで積み上げられ、重機がタンク跡に立ち入れる状態になっていた。残土と重機の重みでふたが崩落し、重機ごと作業していた男性が落下したとみられる。

 市によると、ふたの上の残土は、5月の時点では確認されていなかったといい、市は残土の搬入作業の過程で積み上げられたとみている。残土の量が増加するなどし、市が指定した仮置き場が施工側に徹底されなかった可能性がある。

 市が施工者に提供した現場の地図にはタンク跡の記載はなく、市の担当者が事故発生まで、現場を確認したのも1回だけだったことも分かっている。男性がタンク跡の存在や、ふたが崩落する危険性をどの程度認識していたかも、事故原因の究明で焦点になりそうだ。

 事故は8月25日夕に発覚。タンク跡にたまった汚水の排水作業を進め、同28日に重機の操縦室から男性の遺体が発見された。死因は窒息死だった。神奈川県警は業務上過失致死の疑いを視野に捜査している。

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