山本二三さん「五島百景」98点に 年内完成へ

公開した新作「大波止」(2020年制作)ⓒ山本二三

 長崎県五島市出身のアニメーション美術監督、山本二三さん(67)が五島列島各地の風景100カ所を描く作品群「五島百景」が、完成まであと2点に迫っている。年内には、残りの作品を描き上げる予定。同市武家屋敷2丁目の山本二三美術館では完成を前に、12月まで未公開の新作を含む計48点を順次公開する。 
 山本さんは「天空の城ラピュタ」や「もののけ姫」といったジブリ作品の背景画などを数多く手掛け、迫力のある雲の描写は「二三雲」として知られる。
 五島百景は、山本さんが古里の魅力的な風景を全国に紹介しようと、2010年に始めたライフワーク。里山や海岸、伝統行事などの風景を切り取り、温かいタッチで描いている。同館は今月から常設の12点に加えて、▽「福江島」▽郷土芸能チャンココや教会など「歴史・信仰」▽小値賀島や椛島など「列島各地」-の3テーマで、各12点を順次展示していく。新作披露展は12月27日まで。
 松野音幸館長によると、山本さんは先月に五島市内を訪れ、残る2作品で描く黄島と黒島を取材。「年内に完成させたい」と話していたという。松野館長は「(五島百景には)五島に住む人なら見掛けたことのある風景も多い。普段は気に留めない風景が、どんなタッチで描かれているかを見て、楽しんでほしい」と話す。

公開した新作「箕岳から臨む崎山町と鬼岳」(2018年制作)ⓒ山本二三

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