投資家・坂本慎太郎氏が実践、2000万円台から始めるマンション投資

Bコミこと坂本慎太郎です。株式評論家としてラジオや証券会社の講演、個人投資家向けの教育コンテンツなどの活動をしています。前回は不動産投資との出会いをお話しさせていただきましたが、今回からは実践編として実際にどのように考えて行動したかをお話ししたいと思います。


レバレッジの効かせすぎに注意

不動産投資の王道は何であるか知りたい人は多いでしょう。リスクなどを考えなければ「コーポやRCのマンションのような1棟物件を銀行融資で購入し、銀行から少しでも多くの融資を引き出し、物件を増やし続ける」というもので本屋に売っている不動産投資本でも定石として紹介されています。

ただ私は投資家としてポートフォリオの考え方を重視しています。1棟物件を購入した場合、ポートフォリオに占める不動産の割合が大半を占めるはずです。物件価格が高額なのでほとんどの人が借り入れを活用します。入居率が思わしくないと家賃を返済額が上回り、返済の原資を自分の資産から捻出しなければならず、最悪自己破産の可能性もあります。手持ちの現金等が少ない人にはリスクが高い投資法となってしまいます。

細心の注意を払って運営していても大量退去や事故物件になってしまうなど家賃と返済のキャッシュフローが逆転する最悪の状況にならないとは限りません。株や債券投資であれば間違った選択をしてしまったら損切りをすればよいのですが、不動産は入居者が少なく収益が乏しい物件は安値で売却しなければならなくなります。

不動産は1つの判断ミスでリカバリーに多額の損失を被るリスクを覚悟で持っておかなければなりません。

私が不動産投資に踏み出したのは2013年でこの頃はリーマンショックから立ち直りつつあり、アベノミクスという言葉も出て経済が回復するムードが充満していました。他国と東京の不動産を比較すると香港、シンガポール、上海、北京の賃料は東京の3~4倍でした。日本の人口が減少することを考慮しても東京は人口流入が続いていますし値上がり期待が持てるのではないかと考えました。

ポートフォリオのバランスを重視して私が行う不動産投資はマンションなどの区分投資を行うことにしました。マンションであれば一棟より流動性が高いですし、場所を間違えなければ安定した収入が見込めます。

はじめての不動産投資なので投資金額も少ないワンルームマンションから始めることにしました。最初の物件は売却する際の流動性と入居付けを考えて都心三区で駅から近い物件を丁寧に探しました。以下、私が検討したこだわりポイントを記しておきます。

中古を選ぶ理由

ワンルームマンションを投資するうえで新築か中古どちらにしようか悩む人が多いでしょう。メリットデメリットを考えると私の選択は中古一択となりました。新築は新築プレミアムで当初は高い家賃が取れること、建物が新しいため長く家賃を貰うことができます。

しかし、物件価格が高く、都心三区の物件は広さにもよりますが当時でも安くても2,500万円くらいしました。一方中古のワンルームマンションは20平米以上の部屋で壁紙など軽い修繕をしておけばそれなりのクオリティを保てるのでボロボロの築古でなければ入居者はつきますし、家賃が年々下がっていくということはありません。

この法則は都心であれば「駅から近い」というのが必須です。人気の駅であれば徒歩10分以下、不人気の駅なら5分以下であれば発動します。今考えると新築の方が値上がりしているので新築でもよかったのですが、将来家賃が上昇していくことは考えにくいため、現在、都心新築物件の4%前後の利回りは高すぎて手が出ません。

地方物件を選ぶのに注意すること

地方であれば駐車場は必須です。駐車場がないことで入居付けに苦労しているオーナーはたくさんいます。地方のワンルームマンション投資は供給過多で家賃が崩壊している地域が多いです。たとえば学生の需要を当て込んでワンルームがたくさん立っていたのですが、大学の移転によって需要が蒸発してしまった地域、ワンルームマンションの規制が遅れて多数のワンルームマンションが林立している地域などです。

マンション投資は管理費と修繕積立金がかかります。低家賃の地域で家賃が3万円であれば1万円前後かかってしまい、手残りは2万円前後になってしまいます。これであれば物件価格は高くなるものの、家賃が取れる地域で購入した方が良いです。入居者を募集してくれる不動産会社も家賃が安い物件は仲介手数料や礼金も安くなってしまうため、熱心に客付けをしてくれない可能性もあります。地方を検討される方は家賃相場と駐車場の有無を必ず確認した方が良いでしょう。

ついに物件購入

物件情報の収集は不動産サイトを見たり知り合いの不動産屋さんに頼んでいましたが、自分のストライクゾーンに入る物件がなく、いい物件はタッチの差で買えなかったり購入熱が高まったり冷めたりを繰り返していました。

この頃は景気もまだ悪く、競売物件がまだ多数あり、競売で落札した物件を売る業者から買い付けました。業者にマージンは取られるものの、個人で競売を行う手間を考えると納得できる価格でした。

ちなみに競売物件は不動産価格の上昇とマーケットの過熱により普通に流通している価格とほぼ変わらなくなってしまいました。債務整理する件数が多い不景気の時代に有効な手段でしょう。

私が購入した物件は競売物件なので中古ですが築8年程度。場所も都心三区の中央区で駅から2~3分で風呂トイレ別の20平米以上という条件がすべてそろった物件でした。これを少し安く買えるのですから物件が背中を押してくれた形です。半年かかりましたが一件目を購入することができました。

購入資金は現金かローンか

販売中の物件の中から該当するものがなければ待つという選択肢を取ってもいいと思います。最初の物件なのでこだわりが強く、この物件が欲しいと思わないと買わないことにしました。ポートフォリオに不動産を入れるという必要性はわかっていたものの、今思うと最後の踏ん切りがつかなかったのかもしれません。

当初は現金で数件買って少し借り入れるスキームを考えていましたが、不動産屋にヒアリングしたところ、投資用物件の借り入れルートをいくつも紹介できるとのことでした。条件などをじっくり考えて頭金を入れて借り入れをすることにしました。最初から考えていた「少しレバレッジをかけて不動産を購入」するスキームを活用することができました。

次回は、物件の運営状況について説明していこうと思います。

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