歴史ある建物 「コンテンツ生かし観光名所に」

「コンテンツが引っ張る観光名所になれば」と話す中山さん=島原市堀町、しまばらデザインアートラボ

 空き店舗が増え、人通りが減り続けている長崎県島原市中心部のにぎわいを取り戻そうと、サンシャイン中央街アーケードの衣料品店いろはや本店の社長、中山実津雄さん(47)が、昭和初期に建てられた同店向かい側の空き店舗をギャラリー「しまばらデザインアートラボ」に改装し、企画展などを開いている。「コンテンツ(ラボで開催する企画)が引っ張る観光名所になれば」と意気込む。3日には、新型コロナ禍で打撃を受ける物販業者や発表の場を失った作家を応援する企画「いろはやフェス」を同ラボとその周辺で開く。
 同ラボの建物は1934年築の木造3階建て。かつては自転車店として営業していた。左右対称の洋風建築物を思わせるモルタル塗りの外観で、中に入ると高い天井に施された装飾が目を引く特徴的な造りが残る。
 中山さんはこの建物が売りに出た際、スナックビルに建て替わる計画があると聞き、買い物の場として商店街が担う役割がさらに低下すると危惧。「スナックは昼は営業しない。なんとか阻止したい」と周囲の反対を押し切り購入を決意した。
 歴史ある建物の魅力をリノベーションで残しつつ、時代に合わせた流行を取り入れて集客につなげようと、広さ約100平方メートルの1階をギャラリーとして再生。レトロな雰囲気に合わせ、ドアや電灯など欧米製のアンティークを用いている。
 5月のオープン後、「地域をつなぐ発表の場」を目指し、波佐見焼やラグの展示のほか、織物を作る生産者の思いや頑張りを紹介する企画展などを開催。3日の「いろはやフェス」では、絵画の個展に加え、雑貨やアクセサリー、パン、ケーキなどの約25店が並ぶ。ジャズ演奏や手品ショーもある。

© 株式会社長崎新聞社