リノベーション費用900万円の事例を紹介|フルリノベーションも実現できる予算

リノベーションにおいて、予算900万円という額は工事の自由度が高い金額です。レイアウトを変更したり、間取りを変えたりするなど、比較的大規模なリノベーションを行っても、約900万円以下で済むケースは多いもの。

とはいえ、具体的におよそ900万円の予算でどこまでできるのか知っておかないと、明確なリノベーション計画は立てられません。この記事では、リノベーションの予算900万円程度でできることを紹介します。自宅を大改造したいと検討している方は、今回紹介する内容を計画のヒントにしてみてください。

900万円以内のマンションリノベーション事例

まずは900万円以内で実現したリノベーションを紹介していきます。施工面積や場所、家族構成も表にしているので、ご自身の環境に当てはめて参考にしてみては。

【850万円】猫にも住み心地のいい空間

こちらは猫が快適に暮らせるように工夫した事例です。室内のすべてのドアに、猫が自由に出入りするための小さな扉を設置しました。フローリングには、天然無垢材のひとつ「チーク」を採用し、重厚感を覚える落ち着いた印象に。リビングの壁には飾り棚を設け、趣味のものを飾れるスペースを確保しています。

こちらのリノベーション事例について間取りなど詳しい情報はこちら。
猫と住まう居心地のいい家K様邸

【850万円】自転車も置ける広い玄関

予算が900万円あれば、玄関など細部にもこだわったリノベーションができます。このリノベーション事例では、自転車を2台置けるように、広々とした玄関スペースを確保しています。自転車のほか、ヘルメットや靴などもたっぷり収納できるよう、収納棚も設けました。

間取りを変えて広くしたリビングは、一角にワークスペースを設けたり、小上がりの畳を設置するなどして、ひとつの空間でさまざまな使い方ができます。

こちらのリノベーション事例について間取りなど詳しい情報はこちら。
趣味を楽しむ男一人暮らしT様邸

【840万円】光を取り込む広いLDK

開放的で明るいリビングへとリノベーションしたこちらの事例の工事費用は、おおよそ840万円です。もともとは4DKという居室を細かく区切った間取りでしたが、仕切りを取り払って1LDKに変更。壁が少なくなったことで光を取り込みやすくなり、明るいリビングへと改善されました。フローリングは、傷やへこみに強い「カリン」という天然無垢材を使用しています。

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高級感と落ち着きのあるT様邸

【830万円】生活動線を意識した間取り

生活動線を意識した使いやすい間取りへと変更した例。部屋の行き来の手間を省くために、洗面所やキッチン、リビングダイニング、寝室、ウォークインクローゼットまで、行き止まることのない動線を確保した間取りにしています。寝室は、リビングからの視線を遮るために、通路を完全にふさがない間仕切りを設けているので、動線を確保しつつしっかりとプライバシーを確保しています。

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すべてを自分好みに揃えているY様邸

900万円台のマンションリノベーション事例

900万円に少し予算をプラスしたらどんな違いがあるのか、ここからは900万円台で実現したリノベーションの詳細を見ていきましょう。

【930万円】料理好きのための理想のキッチン

こちらはキッチンにこだわったケースです。こだわりのアイランドキッチンを中心として、リビングとダイニングの空間を分けるようにリノベーションしました。これにより、空間に生まれた余白を楽しめる雰囲気になりました。対面式のアイランドキッチンは、空間を開放的にして、自然と料理をしたくなる気持ちにさせてくれます。

こちらのリノベーション事例について間取りなど詳しい情報はこちら。
料理がしたくなる理想の家L様邸

【900万円台】収納スペースは広いWICに集中

900万円台でのリノベーション事例の中には、個性的な家づくりを実現させたものもあります。住まいに欠かせない「収納スペース」を、広々としたウォークインクローゼットに集中させることで居室の広さをキープ。

玄関からホール、WICへと続くよう動線が考えられていて、外出時及び帰宅時にスムーズに身支度を整えられるよう工夫を凝らしています。一般的な住まいのように、さまざまな場所に収納スペースは設けていません。その分、ミニマルでシンプルなレイアウトになっています。

こちらのリノベーション事例について間取りなど詳しい情報はこちら。
リノベーションならではの独自の間取りを実現させたK様邸

900万円の費用でできること

リノベーションを行うにあたり、だいたい900万円の予算があれば、選択肢が広がり、とことんこだわって工事計画を立てられます。具体的に、どのようなリノベーションが行えるのか、詳しい内容を解説します。

マンションのフルリノベーション

リノベーションで、予算を900万円程度確保できるなら、マンションのフルリノベーションが可能です。居室はもちろんのこと、玄関や水回り、廊下などを一新できます。場合によっては、比較的グレードの高い設備も選べるので、こだわって住まいを作りたい方であっても納得のいく仕上がりにしやすいです。ペットと一緒に住むなら、予算900万円程度の中に、猫のためのステップを設ける造作など、小さな家族のための工夫もできます。

50㎡程度の広さなら設備や建材にこだわれる

予算約900万円のリノベーションで、施工面積が50㎡程度であれば、設備や建材はハイグレードなものを選べます。フローリングであれば、高級品と呼ばれる自然素材が選択肢に挙げられますし、キッチンカウンターなどの水回りも、機能性の高い設備を取り入れられます。ほかにも、リビングの一角にワークスペースを設けるなど、近年人気を集めている設備を取り入れることも可能です。

70㎡以上は価格を考慮

施工面積が70㎡以上であれば、設備価格を考慮してリノベーション計画を立ててください。リノベーションを行うにあたり、施工面積が70㎡以上となると、費用総額が高額になりやすいです。施工面積が広いうえに、設備もハイグレードなものを選んでしまうと、予算約900万円をオーバーしてしまうことも。施工面積によっては、設備で妥協したほうがいい場合があるので、あらかじめ覚えておくと安心です。

部分的なリノベーションであれば増築なども可能

おおよそ900万円の予算であれば、部分的なリノベーションとして「増築」も可能です。階段を増設したり、6畳程度の部屋を増やしたりなど、家族構成やライフスタイルによっては、部分的に増築したほうが快適に過ごせることがあります。約900万円の予算を確保できれば、家族に合わせた増築を検討できます。

リノベーションの費用相場

リノベーションを実施するにあたり、気になるのがリノベーション費用相場です。どんなリノベーションに、どれくらいの費用がかかるのかを把握しておけば、より具体的に工事内容をイメージしやすくなります。ここからは、リノベーション内容と費用相場について詳しく解説します。

内装のみのリノベーションは㎡単価で12万~15万円

リノベーションを実施するにあたり、工事箇所が内装のみであれば、1㎡あたりおおよそ12万円~15万円が相場です。外装は施工せず、内装のみリノベーションするなら、工事の規模は比較的小さいので、費用も抑えやすいのです。

仮に、内装リノベーションにおける1㎡あたりの単価が12万円であった場合、60㎡の範囲を工事するとなると、だいたい720万円あたり。予算が900万円程度であることを考えると、十分予算内に収まります。

一戸建ての内装+外装リノベを予算900万円でやるのは難しい

一戸建て住宅の内装及び外装もリノベーションするなら、予算約900万円以内で済ませるのは難しいでしょう。うえで触れたとおり、内装のリノベーションだけで費用はだいたい700万円を超えてしまいます。

外壁の塗装や張り替えには、おおむね50万~230万円の費用がかかりますし、屋根の塗装や張り替えにも、30万~300万円程度の費用がかかります。外装と内装を一緒にリノベーションするとなると、約1000万円を超えてしまうことが多いので、予算900万円程度で対応するのは難しいかもしれません。ちなみに、2階建ての一戸建て住宅の場合は、足場代としてだいたい15万~20万円ほどのお金もかかります。

古い木造戸建ては外装を優先したほうがいい場合も

リノベーションでは、一般的に内装を優先しがちです。しかし、古い木造戸建てに限っては、外装を優先してリノベーションしたほうがいい場合があります。とくに、築30年を超えるような住宅の場合、経年劣化によってさまざまなトラブルを抱えていることも。

外装の経年劣化を放置すると、雨漏りや耐久性の低下など、不安な問題が次々に生じてしまい、結果的に建て替えを考えなければならなくなる可能性が高まります。思わぬトラブルを避けるためにも、古い木造住宅を購入した場合は、外装を優先してリノベーション計画を立てることをおすすめします。

場所、設備別の費用目安

リノベーションの場所や設備によって、実際にかかる費用は異なります。それぞれのどのような価格帯となっているのか、次から詳しく解説します。

水回りの設備変更などのリフォーム

キッチン、トイレや浴室(ユニットバス)、洗面所など、水回りの設備変更をするためのリフォームの費用はおおよそ15万~150万円です。比較的スペースの狭いトイレや洗面所なら費用が安価に抑えやすく、広いスペースを必要とする風呂やキッチンのリフォーム費用の方が高くつきます。変更する設備のグレードによって費用差が大きいので、「どれくらいの機能性を希望するのか」「どこまでなら妥協できるのか」を考えて計画してください。

水回りの費用相場について詳しくはこちら。
水回りリフォームの費用相場と注意点――セットでリフォームすると安い?

間取り変更

3DKから1LDKへ、など、間取りを変更するリノベーションの費用はおおよそ20万~350万円です。間取り変更の規模によって、費用は大きく異なります。間取り変更を検討するケースとしては、「二世帯住宅にする」、「多い部屋を減らし一部屋を広くする」、でしょう。撤去もしくは設置する間仕切りの数が多いほどに、リノベーション費用も高くなるので注意してください。

間取り変更の費用相場について詳しくはこちら。
間取り変更リフォームの費用相場は。マンションの場合、構造上の注意点がある?

ちなみに、和室を洋室に変更するリノベーション費用は、50万~100万円ほどです。2DKや3DKなどの間取りは比較的古い建物であることが多く、和室が採用されていることも少なくありません。間取り変更と同時に、和室から洋室に変更したいときには、それぞれの費用を合計して金額をイメージしてみてください。

和室を洋室に変える費用相場について詳しくはこちら。
和室から洋室にリフォーム。期間や費用相場を紹介

断熱や耐震補強などの機能修繕

「断熱リフォーム」「耐震補強」など、住宅の機能修繕を目的とした工事を行うなら、それぞれの費用目安はだいたい20万~200万円ほどです。断熱リフォームにおいては、壁に断熱材を追加するのか、窓も断熱仕様のものに変更するのか、で費用は異なります。

耐震工事に関しては、1981年5月31日以前に建築確認を受けて建てられた建物であれば、旧耐震基準に沿ったもののため、優先的に検討する必要があります。改正された耐震基準よりも耐震性が低いので、不安があります。中古住宅を購入する際には、必ず築年数を確認してください。

断熱リフォームの費用相場について詳しくはこちら。
断熱リフォームの費用相場は?気になる補助金や効果を紹介

耐震補強の費用相場について詳しくはこちら。
日本では欠かせない地震対策。耐震リフォームの価格相場は?補助金や減税も解説

リノベーションを予算内に抑えるためのポイント

リノベーションを検討するにあたり、「可能な限り費用を抑えたい」というのが正直なところです。理想の住まいにするためには、大きな出費が伴います。しかし、予算内に抑えるためのポイントを把握しておけば、費用に悩まされることなく、リノベーションが可能です。ここからは、リノベーションを予算内に抑えるための大切なポイントを詳しく解説します。

複数業者に見積もりを依頼する

リノベーション費用を抑えたいというとき、複数の業者に見積もりを依頼することをおすすめします。「リノベーション会社」といっても、業者ごとに費用感は異なります。同じ内容でもいざ見積もりをとってみたら、大きな差があることも珍しくありません。

相見積もりをとっておけば、それぞれの業者の費用を比較できるので、安い業者に依頼しやすくなります。最初から1社に絞って業者を選ぶのではなく、2~3社の業者に見積もりをお願いして、工事内容や費用を確認し、どこに依頼するか検討してください。

こだわりに優先順位をつける

リノベーションの計画を立てる際に、「優先順位」をつけておくことで費用を抑えやすくなります。必ずやりたいことと、費用に余裕があればやりたいことを分けておくことで、予期せぬ予算オーバーを回避できます。

「水回りの設備は絶対に交換したい」「費用に余裕があればフローリングを無垢素材に変えたい」など、こだわりに優先順位をつけてみてください。ちなみに、リノベーション内容の希望に優先順位をつけるだけではなく、設備のグレードにも優先順位をつけておくと安心です。

キッチンを例にすると、「高性能で個性的なものがいい」のか、「平均的な機能をもったシステムキッチンでもいい」のかなど、優先順位をつけておけば、予算内でプランを立てやすくなります。

設備や建材のグレードを抑え、造作家具で揃えすぎない

リノベーションを予算内で実施したいなら、設備や建材のグレード及び造作家具(オーダーメイド家具)には注意しなければなりません。グレードの高い設備や建材を取り入れると、当然費用も割高です。あっという間に予算をオーバーしてしまいます。

造作家具においても同様です。既製品の家具ではなく、造作家具でインテリアを揃えてしまうと、費用が高くなるので予算を圧迫します。設備や建材は検討しているグレードで本当にいいのか、造作家具は本当に必要なのかを慎重に考えてください。

追加工事の発生を見込んだ予備予算を立てる

リノベーションでは、追加工事の発生を見込んでおくと安心です。住まいのリノベーションでは、老朽化や不良が見つかり、追加工事が発生することも珍しくありません。リノベーションを計画するなら、老朽化対策を折り込み、安心の住まいを実現するため、「予備予算」を立てておく必要があります。

工事を依頼する業者に、「追加工事が発生するとなると、いくら位になりそうか」「もしも予算内に収まらない可能性が出てきた場合、どこを削るといいか」を相談して、適切な資金計画を立てましょう。

リノベーションで利用できるローンの種類

リノベーションをしたいとき、「ローン」の利用を検討する人は多いと思います。しかし、リノベーションで利用できるローンにはいくつか種類があるので、どれが自分に合っているのかを把握しておかなければなりません。リノベーションでローン借入を計画したいというときは、以下を参考にしてください。

持ち家の改装ならリフォームローン

リノベーションで利用できるローンには、「リフォームローン」があります。今住んでいる既存の家をリノベーションするのであれば、「リフォームローン」が適用されます。リフォームローンには「担保型」「無担保型」の2種類があり、担保型のほうが金利が低いというメリットがありますが、審査が厳しいのが特徴です。

無担保型は、金利が高いものの、審査を通過しやすいのがポイントです。リフォームローンを検討するなら、担保型と無担保型のどちらを選ぶべきか、「金利」「審査」の面からよく考えてください。

中古物件の購入+リノベーションなら住宅ローン

リノベーションでは、「住宅ローン」も選択肢のひとつです。住宅ローンの利用は、中古物件の購入とリノベーションを同時に行いたいと考えている方に適しています。中古物件の購入+リノベーションでは、物件購入に住宅ローンを利用し、リノベーションにはリフォームローンを利用するというケースもあります。しかし、これではローンふたつ分の諸費用や金利がかかるので、経済的な負担が大きいものです。

住宅ローンは物件の購入価格だけではなく、リノベーション費用も含めた金額を借入できます。利用するローンはひとつにまとめて、諸費用や金利を節約して経済的な負担を軽減してください。リフォームローンと比べると、住宅ローンのほうが金利を低く抑えられます。

リノベーションのローンについて詳しくはこちら。
リノベーションのローンの選び方とは?住宅ローンとリフォームローンを徹底比較

リノベーションで利用できる補助金も

リノベーションでは、補助金を利用できることもあるので、あらかじめ覚えておくと損しません。リノベーションで補助金を利用できるケースは、家の性能を高めるための工事を計画しているときです。

ほとんどの場合、耐震のための工事や、介護のためにバリアフリー化するための工事、断熱などの省エネ工事が対象です。具体的な補助金利用の条件は、自治体によって大きく異なります。

仮に、家の性能を高めるための工事であっても、定められた条件を満たさないと補助金が利用できない場合も。いずれにせよ、リノベーションを検討しはじめた段階で自治体に確認しておくと安心です。

リフォームで受けられる補助金について詳しくはこちら。
2020年(令和2年)リフォームで受けられる補助金、減税、優遇制度を紹介

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