生徒の立場で議論を 長崎県立大地域連携センター特任教授 中島洋氏

「生徒の立場に立った議論必要」と語る中島氏=西彼長与町、県立大シーボルト校

 長崎県立高校改革の基本方針について議論する推進会議の第1期、第3期に携わった県立大地域連携センターの中島洋特任教授に、課題と展望を聞いた。

 -第1期では11校を統廃合した。
 当時、高校再編は全国的な流れだった。人口減少が続く中、地方で分校などを多く抱えたまま、どうやって教育環境を維持するのかが議論の中心になった。生徒数の動向や交通事情、学科の適正配置を考慮して、他の学校選択が可能な地域で統廃合を進めた。

 -統廃合を議論する上で気を付けたことは。
 生徒の教育環境をどう守るのかが最も重要。生徒が減っているからといって、簡単に廃校にしてはいけない。かといって集団行動でしか学べないこともある。生徒の立場になって考え、議論を重ねてきた。

 -県内でも小規模校が増えてきた。
 一概に小規模校が悪いとはいえない。少人数だと教師の目が届きやすく、苦手教科など個別指導もしやすい。ただ、部活動では人数が足りずに団体競技ができないなどの支障もある。学びの保障のためには、一定の生徒規模は必要だ。

 -定員割れが続く学校もあるが、有効な解決策は。
 学科改編や離島留学制度など、いろんな手法で特色を出そうとしてきた。ただ、それ以上に人口減少が進んでいる。進学、就職で県内を離れることは決して悪いことではないが、移住定住対策と並行して郷土愛を育てる教育が大切。「古里に戻りたい」と思う若者が増えれば、流出超過は防げるのではないか。

 -第3期改革の展望は。
 学校数が少なくなったことで、地域における学校の役割はより重要性を増した。学校再編の議論には、今まで以上に地域振興を考える必要がある。まちづくりの柱の一つに学校があるという視点で地域と行政、学校が一体となって子どもの教育を守ってほしい。


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