押入れのリノベーションで空いたスペースを活用。おすすめのリノベ実例や費用相場、DIY方法を紹介

押入れのリノベーションは収納や居住スペースに困ってしまったときにおすすめの方法です。家族が増えたり子どもが成長したりと、環境が変化することで現在の住まいに不満を抱えてしまう方は少なくありません。こちらでは、スペースを有効活用する押入れリノベーション術や、実際の費用相場などを紹介します。

押入れのスペースをリノベーションする理由

近年、昔ながらの押入れスペースをリノベーションする方が増えていますが、施工に至る理由は家庭によってさまざまです。こちらでは、押入れのスペースをリノベーションする代表的な理由を紹介します。

物置としてのみ使用するのがもったいない

押入れの主な役割は、和室で使用する布団などの寝具を収納するためのスペースです。しかし、住宅環境の変化にともないベッドを使用する方が増え、押入れを布団の収納スペースではなく、普段使用しない物を収納する物置として使用するケースが増えています。これをもったいないと感じ、押入れをリノベーションする方が多いようです。

押入れの手前部分しか使っていない

押入れは意外とスペースが広く、多くのアイテムを収納できます。ただ、実際は押入れの手前部分しか使用できておらず、本来の収納力をフルに活かせていないケースも珍しくありません。押入れをリノベーションすることで、デッドスペースをなくし、広い空間を最大限活用できます。

また、高さや奥行きに余裕のある押入れであれば、あえてスペースを最小限にするリノベーションもおすすめです。収納するアイテムや使用用途に応じてリノベーション内容を検討しましょう。

押入れが劣化してきて使えなくなった

押入れは、和室に設置されているのが一般的です。築年数が経過した建物だと、和室も古くなっていることが多く、押入れの劣化も見られます。劣化した押入れに布団やアイテムを収納していると、押入れ自体の破損やカビ、結露などが発生しやすくなります。この場合、押入れ部分の補強工事や断熱工事のやり直し、結露防止の設備を追加するなどの工事が必要です。

和室を洋室にリノベーションすることに

和室から洋室にリノベーションする際、あわせて押入れをリノベーションする方も少なくありません。住宅環境の変化にともない、布団を収納することがなくなるため、和室の必要性は低下しています。使用しないスペースとして放置しているのであれば、リノベーションして本棚やクローゼット、書斎などに有効活用するのがおすすめです。

押入れのリノベーション実例

押入れはスペースが広く、はじめから中板が設置されていることも多いため、さまざまな形にリノベーションできます。こちらでは、専門業者への依頼やDIYで実現できる押入れのリノベーションの実例を紹介します。

押入れスペースを活用してテレビを設置する

和室を洋室にリノベーションする場合のように、家族が集まる空間にある押入れであれば、ふすまや中板を取り外してテレビを置くスペースとして活用可能です。スペースに余裕があるため、テレビ台やちょっとした棚なども設置できます。

扉や中板を取り外す作業はDIYでも行えますが、少しでも不安があれば専門業者に任せましょう。とくに、賃貸物件に住んでいる場合は、退去時に原状回復義務が発生するため注意が必要です。

ドレッサールームとして活用する

m.susan0709さんのインスタグラムより

広いスペースを確保できる押入れは、日ごろの身だしなみを整えるドレッサールームとしても活用できます。奥に鏡を取り付けて、サイドに棚を設置すれば、メイクや髪のセットができる空間に早変わりします。中板はそのまま机としても使用するのもいいですが、撤去して新しい机を配置するのもおすすめです。また、押入れにハンガーレールを設置すれば、洋服を収納することもできます。外出時の準備が一箇所で済むため、毎日の生活が便利になります。

大量の本を一括収納するスペースに

ついつい増えがちな本や雑誌の収納スペースに困っているなら、押入れを本棚スペースに活用するのがおすすめです。中板を取り外して大きな棚を設置するのはもちろん、大きく手を加えることなく、キャスター付きの本棚やカラーボックスを配置するだけでも十分本棚として機能します。扉やふすまは、圧迫感を覚えるのであれば取り外して、カーテンやレースなどを取り付けると開放的な空間に仕上がります。

ただし、押入れを本棚として使用する際、もっとも気をつけるべきなのが湿気によるカビ対策です。押入れは湿気がたまりやすいため、対策をしないと本にカビが生えるかもしれません。除湿器や除湿剤を取り入れるなどの対策を施しましょう。

中板を取り外して押入れ全体を棚にする

ayaayaskimonoさんのインスタグラムより

押入れは、中板を取り外して棚板を取り付ければ、大型の収納棚に早変わりします。家族が増えたり子どもが成長したりと、家庭環境が変化して収納スペースが足りなくなった場合におすすめです。中板は完全に固定するのではなく、棚受けレールの上から設置すると、収納アイテムの大きさに応じて間隔を変えられます。

ディスプレイスペースとして大人の空間造り

___a.yukaさんのインスタグラムより

押入れの空間を持て余しているのであれば、ディスプレイスペースとして活用する方法があります。元々ある中板を活かして写真や観葉植物などをレイアウトすれば、押入れがお気に入りのスペースになります。

配置するアイテムと押入れの雰囲気がミスマッチの場合は、中板や壁面を塗装し直してみましょう。和室全体をリノベーションするのであれば、壁や天井の色に合わせることで、古い印象がなくなり、現代的な空間に仕上がります。

子どものベッドスペースとして活用する

yo_ta49さんのインスタグラムより

子どものベッドスペースに悩んでいる場合も、押入れが活躍します。クロスを張り替えたり塗装を直したりすれば、子ども用のベッドスペースに早変わりします。上段部分をベッドスペースにする場合は、安全性も考えてはしごを設置しましょう。また、下段スペースはおもちゃなどの収納場所として最適です。子どもが遊ぶ場所になるだけでなく、棚を配置すればすっきりと収納することができます。

下段をペットスペースとして使用する

ペットを飼っている家庭では、ケージの設置場所として押入れの下段を活用しましょう。大型の動物でなければ、十分なスペースを確保できます。中板を活用すれば、前面の扉を外してマットを敷くだけでペットスペースとして使用できます。

クローゼットにして洋服を大量に収納する

押入れのリノベーションで、もっともポピュラーなのがクローゼットへの改装です。中板を取り外し、ふすまを扉に交換して、ハンガーパイプを取り付けます。押入れの広い空間をすべて収納スペースにできるため、収納場所に困っていた洋服をすべて片づけられます。部屋の雰囲気に合わせて塗装なども行うとより効果的です。

費用面が気になる場合は、ふすまをそのまま残し、中板を取り外してハンガーパイプを取り付けるだけの工事も可能です。本格的なクローゼットにしたいか、簡易的なクローゼットで十分なのかは、使用目的や頻度に応じて判断しましょう。

DIYで簡単リノベーション|賃貸でもできるアレンジ方法

賃貸物件に住んでいる場合、基本的に大規模な押入れのリノベーションはできません。中板の撤去やふすまの交換などを行ってしまうと、退去時に原状回復義務が発生するため、費用が余計にかかります。賃貸物件では、原状回復を前提としたリノベーションに留めることが大切です。こちらでは、賃貸物件でも可能な、押入れの簡単リノベーションを紹介します。

ふすまのアレンジ方法

押入れをリノベーションする際、まず頭を悩ませるのがふすまです。古めかしい和室のイメージがあり、現代的なレイアウトになじまないためです。取り外して扉などを設置できればいいものの、賃貸物件の場合それも簡単ではありません。ここでは、賃貸でもできるふすまのアレンジ方法を紹介します。

壁紙を貼っておしゃれにアレンジ

ふすまをそのまま活かすのであれば、壁紙やリメイクシートを貼っておしゃれにアレンジするのがおすすめです。ふすまは意外と面積が大きいため、壁紙を張り替えるだけでDIYの効果が十分に発揮されます。賃貸物件用に簡単にはがせるタイプのシートが販売されているため、活用すれば安心してふすまのイメージを一新できます。

淡い色合いの壁紙を選べば、部屋全体が広く明るく見えます。また、和室の雰囲気をそのまま活かす場合は、レトロモダンな柄のリメイクシートを貼ってもおしゃれです。洋風にイメージチェンジする場合は、取っ手も取り替えてみましょう。はがせる壁紙と取っ手の組み合わせで、部屋全体の雰囲気が大きく変わります。

ふすまを取り外してカーテンを取り付ける

思い切ってふすまを取り外す場合は、中が見えないように工夫する必要があります。カーテンに変更するだけで圧迫感なく部屋の印象を変えられます。レースやリネン、コットンなど、さまざまな素材を試してみましょう。

ふすまを取り外してた後、その収納場所に悩むことがあります。押入れに入るサイズであれば、収納するのが手軽です。奥に立てかけたり天袋に入れたりして収納しましょう。ただ、押入れの中に収納する場合は、湿気対策が重要です。除湿剤や除湿シート、すのこ、炭などを設置するだけでも十分な効果が期待できます。

押入れに入らないサイズの場合は、壁に立てかけて保管しましょう。倒れてこないように固定し、場合によっては背の高い本棚の後ろに置いて隠すなど、工夫して収納することが大切です。

デスクスペースとして活用する方法

mimacoloryさんのインスタグラムより

収納スペースとして活用するには物足りない場合は、デスクスペースとして利用するのがおすすめです。コンパクトな押入れは、集中して作業する場所に最適です。上段をデスクスペース、下段を収納スペースにすれば、使い勝手のいい押入れに早変わりします。

中板や内部の色が統一されていると、よりおしゃれな雰囲気を演出できます。ペンキで塗装しなくても、リメイクシートやマスキングテープで十分に印象を変えられるはずです。ちょっとした棚板が欲しい場合は、ディアウォールを活用しましょう。ディアウォールに棚受けレールを設置し、そこに板を乗せたら手軽に収納スペースが確保できます。

クッションフロアを敷いて、ディスプレイ空間に

押入れや中板が古くなっている場合は、クッションフロアを敷くと使いやすくなります。部屋の壁や床と統一感をもたせると、おしゃれな印象になります。大きめの押入れであれば、デスクスペース兼ディスプレイスペースにするのもおすすめです。クッションフロアやリメイクシートなどを使用することで、フェイクグリーンや雑貨などが映える空間になります。複雑な工程もないため、DIY初心者の方でも比較的簡単に作業できます。

押入れをクローゼットにリノベーションする際の費用相場

押入れのリノベーション事例として多いのが、クローゼットへの改装です。和室を洋室へリノベーションする際、あわせて押入れをクローゼットにする方が増えています。押入れをクローゼットにリノベーションする場合の工事内容は、主に以下の4つです。

  • 押入れの解体、撤去
  • 棚板、パイプの設置
  • クローゼット内の壁、床の補強工事
  • 扉の取り付け

押入れをクローゼットにリノベーションする場合の費用の目安は8万~20万円です。増設する棚の数や扉の素材、壁紙のグレード、オプションの有無などによって上下する可能性もあります。こちらでは、費用相場についてより詳細に確認します。

押入れのリフォーム・リノベーションについて詳しく知りたい方はこちら
押入れをリフォームしてクローゼットやベッド、書斎に。費用や注意点を解説

中段の棚を外す工事

押入れには、空間の中央に中板と呼ばれる境界板が設置されているのが一般的です。中板は空間を仕切るだけでなく、湿気がこもりにくい上段には布団を、普段使用しない物は取り出しにくい下段へなど、それぞれの空間に役割をもたせるために活用されてきました。しかし、現在はベッドを使用する家庭が増えていることもあり、「布団収納」をメインとした使用は少なくなっています。

洋服の収納をメインとして考える場合、押入れの中板は高さが90~100cmほどあり、そのままハンガーパイプを取り付けて収納すると、丈の長い服は裾を引きずってしまいます。中板を撤去する工事は比較的簡単に行えます。押入れのサイズや造りによっても多少違いはありますが、費用の目安は2万~3万円です。

工期も1日で完了するため、「レールやパイプはDIYで設置するので、中板だけ撤去して欲しい」という要望もあるようです。ただ、レールやパイプを設置する場所の状態によっては、補強工事が必要になる可能性があります。

クローゼットの扉を付け替える工事

クローゼットは、ふすまから扉へと付け替えるだけでも大きく印象が変わります。クローゼットの扉としてもっとも一般的なのが折れ戸です。蝶番でつながった2枚1組の板をたたんで開閉するタイプの扉です。開閉に必要なスペースを最小限にでき、ふすまとは異なり開口部をフルオープンにできるという特徴があります。費用の目安は5万~15万円、工期の目安は1~2日です。

なかには、ふすまと同様に左右にすべらせて開閉する引き戸を採用するケースもあります。折れ戸と異なり前面に物があっても開けられるため、クローゼットの前にベッドなどを配置する予定がある場合などにおすすめです。費用の目安は5万~15万円、工期は1~2日が目安です。

一般的な居室のような扉にする場合は、開き戸という選択肢も。折れ戸と同様にクローゼットをフルオープンにできますが、前方に開くため開閉に必要な空間が大きくなります。費用の目安は5万~10万円、工期は1~2日が目安です。

また、あえて扉を設置しない方法もあります。来客に中を見られたくない場合は、上部にレールを取り付けてカーテンを設置しましょう。ふすまの撤去とレールの設置だけであれば、費用は2万円前後で済みます。

押入れスペースを拡張してウォークインクローゼットに

押入れに大きく手を加えるのであれば、既存のスペースを拡張してウォークインクローゼットにする方法もあります。和室そのものを撤去したい、といった場合におすすめです。一般的な工事内容に加えて、壁の解体や補強工事などが必要になるため、費用も高額になる傾向にあります。20万~50万円が費用の目安です。

押入れをリノベーションする際の注意点

押入れはそれほど大きな空間ではないため、簡単にリノベーションできるように感じるかもしれませんが、押えておくべきポイントがいくつかあります。こちらでは、押入れをリノベーションする際の注意点を紹介します。

サイズや奥行きを把握する

押入れのリノベーションは、サイズや奥行きによって想定以上の費用がかかります。それほど大きくない押入れであれば、相場より安価にリノベーションできる可能性もあれば、サイズによっては高額になるケースもあります。リノベーション会社に見積もりを依頼する際は、あらかじめサイズや奥行きを測定して伝えるのが効果的です。

床の構造をチェックしておく

押入れの場合、床の構造のチェックも欠かせません。一般的な居室と異なり下地が不十分なケースも多く、ときには薄いベニヤ板が張ってあるだけの押入れもあるためです。布団の収納程度であれば大きな問題にはなりませんが、クローゼットにして多くの物を収納するとなると、床が重量に耐えられない可能性があります。この場合は、押入れ部分の床に補強工事を施します。リノベーションしてから問題が発生しないよう、事前に強度や費用について施工業者に問い合わせましょう。

断熱材で結露防止の対策をする

前述の通り、押入れは湿気がこもりやすく、カビや結露などにより壁や床材が傷んでいるケースも少なくありません。この場合は、新たに断熱材を入れるなど、結露対策の工事を行うのが一般的です。追加の費用が必要になるため、リノベーション会社に確認しましょう。また、カビや結露が発生している押入れは、床下でシロアリの被害が発生している可能性も考えられます。撤去工事の際にあわせて調査してもらうのがおすすめです。

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