長崎サミット再始動 連携の輪広げ 経済成長へ

「長崎が注目される今後5年間が最大のチャンス。活動の実効性を上げたい」と語る小川議長(左)、「組織や地域をまたいで多様な人が交わる中で新しい着想や推進力が生まれる」と語る下田副議長=長崎市桜町、長崎商工会館

 産学官7団体が連携し長崎経済を活性化させる「長崎サミットプロジェクト」は、活動10年となった7月でいったん区切りを付け、新たに5年間の目標を掲げ再始動した。キーワードは、地域外や組織外の力を取り入れ革新に挑む「オープンイノベーション」。推進母体「長崎都市経営戦略推進会議」の議長と副議長をそれぞれ引き継いだ小川洋氏(長崎経済研究所社長)と下田尚人氏(日銀長崎支店長)に展望を聞いた。

 -これまでの活動とどう変わるのか。

 小川氏 10年間で7団体の連携や発信力が強化できた半面、経済活性化につながるプロジェクトの成果は今ひとつ-と(前体制で)総括した。これまで以上に連携の幅を広げ、推進力を高めるために今回「オープンイノベーション宣言」をした。九州新幹線長崎ルートの暫定開業や長崎駅周辺再開発など県外から注目が集まる今後5年間を最大のチャンスと捉え、活動の実効性を上げたい。
 下田氏 人口減少をできる限り食い止め、地域を活性化するという方向性は変わらない。深化した7団体の連携を土台に具体的な成長につなげられるかが、私たちに問われる。新型コロナウイルスの打撃は甚大だが、一方でデジタル化の加速で地理的な不利が解消されるなど追い風も吹いている。次の5年間は長崎にとってチャンスであり、正念場でもある。地方間格差が拡大しかねず、他地域にない取り組みが求められる。

 -なぜ今回は数値目標を設けず、活動期間を5年に短縮したのか。

 小川氏 新型コロナの状況に左右されるので設定するのは難しい。
 下田氏 短い進捗(しんちょく)管理で必要に応じて軌道修正していく。無理に設定するよりも、まずアクションを起こし、少しずつでも着実に前に進めていく。

 -どうオープンイノベーションを進めるのか。

 小川氏 既にたくさんの活性化プロジェクトが動きだしており、これから推進会議で支援先を決める。長崎という枠にとらわれず、さまざまな人、物、情報、資金を取り入れていく。そのうち自然発生的に参画メンバーが増えるだろう。十八親和銀行には合併で捻出した人員を投じてもらう。若い人が積極的に関わるほど活発になる。
 下田氏 組織や地域をまたいで多様な人が交わる中で新しい着想や推進力が生まれ、さらに輪が広がる。長崎がそんな好循環をつくりだす拠点になるよう、推進会議が連携をコーディネートする。そこに(会員企業から集めた)ファンドをどう投じるかも検討する。大都市圏の商社や県内に進出したIT企業、スタジアム構想を進めるジャパネットホールディングス(佐世保市)などから、さまざまな力や知恵を借りていく。

 -これまでトップ7人が一堂に会するサミット会合に比べ、推進会議の動きが外部に見えにくかった。

 小川氏 各種プロジェクトの中から幾つか成果が出てくれば、おのずと推進会議もクローズアップされ、在り方は変わるだろう。
 下田氏 新たな目標の一つに「“長崎がおもしろい”を広げる」を挙げた。そのためにもトップ会合の発信力が欠かせない。作戦を練って動くのは推進会議。それに必要な資源の配分をトップ会合が決め、後押ししていただく。

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