メクル第505号<旬感 V・ファーレン>MF カイオセザール選手(背番号40) 攻守に欠かせない存在

ゴールにつながるプレー、そして自らも得点を奪うプレーで魅了するカイオセザール選手

 第6節のファジアーノ岡山(おかやま)戦、第30節の水戸ホーリーホック戦。同点や負けている厳(きび)しい状況(じょうきょう)から、チームを救ったのは彼(かれ)の右足でした。「リスクを背負(せお)ってでもシュートを打たなきゃ」。記憶(きおく)に残る鮮(あざ)やかなミドルシュート。今季は攻(せ)めの姿勢(しせい)を前面に出しています。
 ここまで全34試合中、出場停止1試合を除(のぞ)くチーム最多の33試合に出場しています。7月には来日初ゴールを決め、現在(げんざい)チームトップタイの5得点をマーク。年間の目標に「10ゴール」を掲(かか)げています。
 193センチの体格を生かしたボール奪取(だっしゅ)力、キープ力は折り紙付きのボランチです。加えて今季は、ドリブルでゴール前に持ち込(こ)んだり、ワンツーで相手をかわしたりと、攻撃(こうげき)に関わるプレーで魅了(みりょう)。今や、チームに欠かせない存在(そんざい)です。
 2018年、ブラジルのチームからJ1川崎フロンターレに加入。「日本でプレーしてみたい」という夢(ゆめ)の一つをかなえました。落ち着いて考えながらプレーするブラジルとは違(ちが)い、判断(はんだん)の速さを求められる日本のサッカースタイルを吸収(きゅうしゅう)する日々でした。
 出場機会を得るため、19年6月にV長崎へ。「自分のプレーを見せて、カイオセザールという名を広めたい」。昨年は20試合中17試合に出場。川崎、長崎で経験(けいけん)を積み、来日3年目の今「ようやく自分らしさが出せているシーズン」だと感じています。
 名を広めたい-。その思いの裏(うら)には、強い覚悟(かくご)があります。貧(まず)しい環境(かんきょう)で育った少年時代。「サッカーで家族を支(ささ)える」。16歳(さい)の時、そう決意しました。父と母、2人のきょうだい。そして今は、妻(つま)と3人の子どもたちも。「家族が自分の全て」と語り、その家族のために結果を出さなければならないのです。
 そんな彼が大切にしている言葉は「Amor E PAZ(ポルトガル語で『愛と平和』)」。特に平和を強く願う、この長崎の地にいるという巡(めぐ)り合わせには、特別な感情(かんじょう)を持っています。「このクラブと街は、一生心の中にある」
 今季も残り8試合。J1昇格(しょうかく)の可能性(かのうせい)は「まだ高い確率(かくりつ)である。守備(しゅび)でも攻撃でも全力を出し切るだけ。そうすれば自然に結果はついてくる」-。そう信じています。

◎プロフィル

 1995年7月27日生まれ。ブラジル出身。トンベンセFC-川崎。家族とのバーベーキューが趣味(しゅみ)。金髪(きんぱつ)にしたニューヘアは妻がカットしている。すし、刺(さ)し身(み)、みそ汁(しる)、うどんなど日本食も大好物。193センチ、76キロ。25歳。


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