「新型コロナウイルス」関連破たん【11月25日16:00 現在】

 11月25日は16時時点で、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が6件(倒産5件、弁護士一任・準備中1件)判明し、2月からの累計が全国で717件(倒産654件、弁護士一任・準備中63件)となった。月別では、103件発生した6月以来、7月は80件、8月は67件と前月を下回ってきたが9月は100件で3カ月ぶりに前月を上回り、10月は105件で単月での最多件数を更新した。11月は25日までで71件が判明し、引き続き高水準で推移。企業業績が回復しないなかで、息切れを中心にコロナ破たんの増勢が続いている。

 なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満の小規模倒産は累計36件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計753件となった。

 感染者数の再拡大が深刻化するなか、「GoToキャンペーン」の運用見直しや方針転換が進んでいる。また東京都は25日、酒を提供する飲食店に対して営業短縮を要請することを明らかにした。

 感染拡大防止との難しい舵取りが続くが、経営体力の乏しい飲食業者など、消費関連の小・零細企業に悪影響を及ぼす可能性は否めない。政府や自治体による次の一手となる経営支援策に注目が集まっている。

【都道府県別】(負債1,000万円以上)~ 石川県で10件目が発生、30件以上は6都道府県 ~

 都道府県別では、東京都が164件(倒産154件、準備中10件)で、全体の2割以上(構成比22.8%)を占め、突出している。以下、大阪府が72件(倒産66件、準備中6件)、兵庫県34件(倒産29件、準備中5件)、北海道(倒産33件)と神奈川県(倒産28件、準備中5件)がともに33件、愛知県30件(倒産29件、準備中1件)と続く。
 25日は宮城県で2件判明したほか、東京都、石川県、大阪府、長崎県でそれぞれ1件ずつ判明。石川県が10件に達し、都道府県別では10~20件未満が11県、20~30件未満が3県、30件以上は6都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食業が122件、アパレル関連71件、宿泊業58件 ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が122件と最多。小規模事業者の破たんの増加ペースが鈍らず、突出している。次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が71件と再び増勢が強まっている。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が58件と続く。
 工事計画の見直しなど影響を受けた建設業が46件にのぼるほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が35件、食品製造業も27件と多く、飲食業界の不振が影響している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した690件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で261件(構成比37.8%)。次に、1千万円以上5千万円未満210件(同30.4%)、5千万円以上1億円未満113件(同16.3%)、5億円以上10億円未満と10億円以上がいずれも53件(同7.6%)の順。
 負債1億円未満が323件(同46.8%)を占める。一方、100億円以上の大型倒産も4件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した654件の形態別では、破産が581件(構成比88.8%)で最多。次いで、民事再生法が37件(同5.6%)、取引停止処分34件(同5.1%)、特別清算2件(同0.3%)と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の民事再生法は1割未満にとどまる。また、9月以降に発生した民事再生7件のうち、5件は個人企業の小規模個人再生によるもの。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した655件の従業員数の合計は1万1,652人にのぼった。
 655件の内訳では従業員5人未満が310件(構成比47.3%)と、半数近くを占めた。次いで、5人以上10人未満が130件(同19.8%)、10人以上20人未満が105件(同16.0%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50名以上の破たんは8月以降11月までで、月間2件以下の発生にとどまり、小規模化が顕著となっている。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

日本地図1125①

‌                      (負債1,000万円以上)

日本地図1125②

‌                      (負債1,000万円未満を含む)

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