「素質を大きく開花させてくれた」元ロッテ右腕が全国強豪シニアで学んだこと

元ロッテの島孝明さん【写真・編集部】

連載『島孝明のセカンドキャリア―Brand New Days―』第8回

こんにちは、元ロッテの島孝明です。師走を迎え、今年も残すところあと1か月を切りました。高校野球はメディアで多く報じられますが、中学生も野球選手にとっては大事な時期です。今回は私が本格的にピッチャーを始めるきっかけとなった中学時代に焦点を当て、なぜ千葉・佐倉シニアを選んだのか、その経緯や学んだことについて、振り返ってみたいと思います。

私は中学に上がる際、学校の部活動ではなく硬式のクラブチームである佐倉シニアに入ることを決めました。そこには、高校も野球を続けることを想定して、その前に硬式に慣れておきたかったという思いがありました。

私が通っていた中学校は、主に3つの小学校から集まってくる形で、同じ少年野球チームの仲間や対戦したことのある人など、知り合いも多くいました。もし、部活動に入っていても、それなりに上手くなっていたかもしれませんが、結果として、これまで佐倉シニアに入って不正解だったと感じたことはありません。

住んでいた地域の周りにはいくつかの硬式野球チームがありましたが、選択肢として当時有力なチームだったのは、佐倉シニアかもう一つのシニアチームでした。それぞれの体験練習に参加し、両者とも専用のグラウンドと豊富な設備を持っていたため、環境面においてはどちらも甲乙つけ難いものでした。

では私の中で、両者を分けた決定的な要因となったものはなんであったのか。ここでは一切偽ることなく正直なことを述べますが、それは佐倉シニアの方が「試合に出られそう」という、楽天的にもほどがあるような、あまりにも安直な考えでありました。

チームを選ぶ際のポイント「練習内容や雰囲気、卒部してからどういったところに進学しているのか」

よくよく考えれば、ジャイアンツカップなどの全国大会などで、数多の実績を残してきている名門チームであるにもかかわらず、当時の私はそうしたことなど、一切気にも留めていなかったのだと思います。偶然、両親も佐倉シニアに好感を持っていたこともあり、深く考える機会がなかったことも影響していると思いますが、こうして私と硬式野球との関係はスタートすることとなりました。

しかし、私のような直感で決めてしまうのは大変リスクを伴っているため、今改めてクラブチームを選ぶ際のポイントを挙げるとすれば、そのチームの練習内容や雰囲気、卒部してからどういったところに進学しているのか、また基本土日を活動日としているチームがほとんどですが、平日練習を行っているところもあるかもしれないので、家からの通いやすさや年間の活動状況なども考慮して選んでみても良いと思います。

私から見た佐倉シニアの特徴といえば、鉄壁のような守備力が売りのチームであり、全体練習の半分以上が、ノックなどの守備練習で占められていることからも、守備に対する徹底ぶりが窺えました。私も常に外野の守備練習を一緒に行い、そこで投げたり走ったりを延々と繰り返してきたことは、きっと私にプラスに働いていたはずです。

守りの意識が強いチームのため、当然、投手としても求められるものも高く、自己中心的で守備のリズムを損なうようなピッチングは厳しく注意され、また、いかなる時もフォアボールを出してはならないなどといったことも、耳にタコができるほど言われてきました。今となってはどれも当たり前のことですが、当時の自分にとって、当たり前のことを当たり前にやることは、口で言うよりも難しく、しかしそうした教えは、自身の投手としての素質を大きく発展させてくれました。

やや不純な動機で入部した佐倉シニアでしたが、幸いにもエースナンバーを背負えるまでに成長することができ、3年夏に行われた全日本選手権で、ベスト4まで行くことができました。その後も、ジャイアンツカップや全国選抜大会で優勝を収めるなど、ますますその名を全国に轟かせています。また、現巨人の重信選手をはじめ、5年連続でプロ野球選手を輩出しており、今年は東海大相模の西川選手がロッテに指名されました。

こうした、幾多の実績のあるチームに所属していたことを光栄に思うと同時に、その強さを維持しつつ、今後も高校野球やプロ野球など様々な場所で、佐倉シニア出身の選手が活躍してくれることを願っています。(島孝明/Takaaki Shima)

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