出るか長崎奉行所遺構 県庁跡地の発掘調査進む

江戸時代に長崎奉行所が置かれていた長崎市江戸町の県庁跡地で10日、江戸前期の遺物などが昨年見つかった敷地西側の詳細な発掘調査が始まり、現場が報道陣に公開された

 江戸時代に長崎奉行所西役所が置かれていた県庁跡地(長崎市江戸町)の埋蔵文化財調査で、県教委は10日、江戸前期の遺物などが昨年見つかった敷地西側の詳細な発掘に着手した。来年1月下旬まで作業を続ける。一帯は専門家が「長崎奉行所の遺構が良好な状態で残っている」と指摘した場所で、結果が注目される。
 同跡地には16世紀の長崎開港後に国内キリスト教の拠点「岬の教会」が建つなど、歴史的に重要な施設が立地。跡地活用に向けた昨年度の調査で、西側からは古い瓦や漆喰(しっくい)、陶磁器のかけらを含んだ17世紀前半の地層が出土。当時視察した専門家は「下にさらに古い時代の層が残っている可能性がある」としていた。
 県教委学芸文化課によると、今回は17世紀前半の地層が見つかった場所について、範囲を周辺に拡大して掘り下げ、遺物や遺構がないか確かめる。隣接する江戸町公園との間にある石垣の裏側なども掘り進め、昔の痕跡を調べる。調査面積は1392平方メートル。
 初日は現場が報道陣に公開され、作業員らが手作業で丁寧に土を削り取っていった。同課の浜村一成主任文化財保護主事は「長崎奉行所があった当時の地層であり、調査で関連する遺物や遺構が確認できれば」と話した。
 同跡地では当初、長崎市の「文化芸術ホール」建設が計画されていたが、昨年度の調査を受けて市が断念。本年度の調査ではこれまでに、敷地南側で大規模な石垣遺構などが出土している。

県庁舎跡地の西側で始まった発掘調査=長崎市江戸町

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