IR誘致巡り横浜市に住民投票請求 19万署名、市民団体「思い受け止めて」

積み上げられた署名とともに請求書を手渡す藤田共同代表(左)=横浜市役所

 横浜市が進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致を巡り、市民団体「カジノの是非を決める横浜市民の会」は23日、賛否を問う住民投票条例の制定を、市に直接請求した。必要な法定数(有権者数の50分の1)の3倍超に当たる署名19万3193筆を提出し、「市民の思いを受け止めてほしい」と訴えた。

 市によると、市への直接請求は1980年以来40年ぶりで、住民投票条例を求めるものとしては初めて。

 同会の藤田みちる、小林節両共同代表らが市役所を訪問。請求書を受け取った池戸淳子総務局長は、「地方自治法に基づいて適切に対応する」と応じた。

 住民投票の実施には、林文子市長が1月12日までに招集する市会で条例案が可決される必要がある。市会の日程は今月25日の市会運営委員会で協議、決定される見通し。
同会は市長への要望書も提出。条例案を出す際に賛成意見を付けるよう求めたほか、市会で「十分かつ慎重な審議が行われることを期待する」とした。

 同会は、2017年夏の市長選で誘致「白紙」を掲げて3選を果たした林市長が、昨年8月に一転して誘致を表明したことに反発して発足。23日に会見した藤田共同代表は、集まった署名を「横浜を愛する人たちが、どんな横浜を未来に残したいかそれぞれ考えた結果」と評価し、「住民投票でこれからのあるべき姿を示すことが議員や市長に課せられた義務」とした。

 ただ、市会は市のIR関連予算に賛成してきた自公系会派が過半数を占める。同会は今月9日に条例案を可決するよう市会の正副議長や自公両会派に申し入れしており、小林共同代表は条例案が否決された場合について、「(来年夏の)市長選で戦う。われわれに主権を取り戻す」と話した。

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