【フィギュア】〝かなだい〟アクシデント乗り越え2位発進! 負傷の村元「全力で大ちゃんに頼った」

演技を終えて抱き合う村元(手前)と高橋(代表撮影)

フィギュアスケート全日本選手権(長野・ビッグハット)のアイスダンスの注目カップル〝かなだい〟こと村元哉中(27)&高橋大輔(34=ともに関大KFSC)が26日、アクシデントを乗り越えて熱演。67・83点をマークし、5組中2位という好発進を決めた。

この日のリズムダンスのテーマは、90年代のコメディー映画「マスク」。軽快な曲調に合わせて2人はステップを踏み、テンポアップした際も曲調に合わせてツイズル(多回転ターン)を決めた。

デビュー戦のNHK杯から一変した黄色いシャツに身を包んだ高橋は、モチーフでもある主演のジム・キャリーよろしくコミカルに演じ切り、独特の世界観を作り上げた。

演技を終えると、銀盤の中央で抱き合った。試合前、カップル結成後の最大の危機に見舞われたからだ。2人は第一声で安堵の言葉を吐いた。「アクシデントがあって、治るかなと思った。無事にミスなく、満足いく演技ができてうれしい」(村元)、「いつも以上にメンタル的には厳しかった。ホッとひと安心です」(高橋)

思わぬ事態が襲ったのは午前中の公式練習。ステップの最中に、2人は後方に転倒した。左ヒザ裏付近を負傷した村元は、氷上に倒れ込んでしまった。その瞬間について、村元は「一瞬の出来事。何が起こったのか」といい、「(高橋の)全体重が乗って、初めての感触だったので、ヤバーっと思った。立ちたくても力が入らない感じでした」と振り返った。

心配そうに眺めていた高橋は「本当にヤバイかもって思って、生きた心地がしなかった」と話した。

だが、ここからの〝復活劇〟がすさまじかった。村元は高橋に心配をかけぬように「とりあえず大丈夫!」と気丈に振る舞い、一方の高橋は「自分がしっかりしなきゃって思い、あまり動じないようにした。僕が動じたら逆に心配かける。いつもと変わらないように過ごした」と緊急事態の中でお互いを気遣った。

アイシングを施し、立ち直った村元は5分間練習で、出場を正式に決断。本番前に名前をコールされる前は、高橋の方から「頑張ろう!」と声をかけたという。

「今日はホントに全力で大ちゃんに頼って、フルでサポートしてくれた。素晴らしいパートナー。男らしいしカッコいいなと思いました」と笑顔で語った村元に対し、高橋は「全然、かなちゃんの方が男前でしたよ。本番は何事もなかったかのようにパフォーマンス。かっけぇーなって思いながら滑っていました」と笑った。

さらに絆を太くし、パワーアップした〝かなだい〟。27日のフリーダンスでも二人三脚で臨む。

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