全日本バレー高校選手権 開幕 大村工快勝 2回戦へ 聖和女は3年ぶり

【男子1回戦、大村工―城東】第1セット、大村工のセッター田中がトスを上げる=東京体育館

 バレーボールのジャパネット杯第73回全日本高校選手権は5日、東京体育館に男女各52校が出場して無観客で開幕した。第1日は男女の1回戦計40試合が行われ、長崎県勢は女子の聖和女学院が近江(滋賀)、男子の大村工が城東(徳島)にそれぞれストレート勝ちして2回戦に進んだ。
 3年ぶりに出場した聖和女学院は序盤こそミスが続いたが、粘り強くレシーブを拾い、セッター宮田のトス回しから速い攻撃を展開。OH田口、MB岡住、山下を軸に得点を重ね、25-18、25-16で連取した。
 11年連続出場の大村工は第1セット、OH山口の時間差、MB村田の速攻で主導権を握り、25-12で奪った。第2セットはOH松本明、水口のスパイク、MB大曽の速攻などが決まり、25-15で快勝した。
 このほか、男子は崇徳(広島)が星城(愛知)を2-0で退け、女子は大阪国際滝井が誠英(山口)を2-0で破った。
 第2日の6日は同会場で男女の2回戦を実施。聖和女学院は第1試合(9時30分)で西邑楽(群馬)、大村工は第5試合(13時50分)で仙台商(宮城)と対戦する。

◆大村工・セッター田中 トスさえる 多彩な攻撃演出

 11年連続の大舞台で、大村工のコンビバレーが躍動した。左利きの1年生OH山口が時間差に入れば、MB村田、大曽が速攻を打ち抜く。要所でエース金子の強打も決まった。城東(徳島)のブロックに的を絞らせず、危なげなく初戦を飾った。
 多彩な攻撃を引き出したのは昨季からのセッター田中。年末に左足首を捻挫したOH松本明に代わり、スタメンに抜てきされた山口へ「意識して打ちやすいトスを上げた」。相手守備の位置を見極め、最善の一手を選択。強烈なサーブでも連続得点につなげ、快勝発進の立役者になった。
 県内出身者ばかりの公立校で、異彩を放つ三重県出身。東京の強豪校に進んだ中学時代は都選抜の主将を務め、いつしか「日本代表」が夢になった。
 2008年北京五輪の日本代表セッター、朝長監督から指導を受けたくて、高校は一般入試で大村工を選んだ。3年間で学んだのは「スパイカーを信じるトス」。昨年は準々決勝で敗れ、責任を感じて泣いた。集大成の今年は「ずっと試合をしたい」。指揮官も「最後は彼に託している」と信頼を置いている。
 大所帯の部員53人をまとめる副主将でもある。「人間としてもセッターとしても成長できた」と胸を張る司令塔が「スパイカーを信じるトス」で次もチームを勝利に導く。

© 株式会社長崎新聞社