年収に対する車の適正価格は?年収約400万シングルマザーは300万の車を買って大丈夫?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、37歳、会社員の女性。年収約400万、シングルマザーの相談者。欲しい車が300万円ほどするそうですが、購入して問題ないでしょうか? FPの高山一惠氏がお答えします。

欲しい車が300万ほどするため、頭金を150万ほど貯めたい。私の収入で実際、この先購入が可能かどうか知りたい。昨年戸建てを購入した直後に転職し、パートからようやく正社員になりました。ボーナスの満額支給は今夏が初めてです。

【相談者プロフィール】

・女性、37歳、会社員、独身(シングルマザー)

・同居家族について:中3(14歳)の受験生(進学先公立・私立まだ不明)

・住居の形態:持ち家(戸建て)

・毎月の世帯の手取り金額:21万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:30万円

・毎月の世帯の支出の目安:18万5,000円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:4万円

・食費:5万円

・水道光熱費:1万2,000円

・教育費:3万7,000円

・保険料:8,000円

・通信費:1万1,000円

・車両費:7,000円

・お小遣い:5,000円

・その他:1万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:2万5,000円

・ボーナスからの年間貯蓄額:20万円

・現在の貯蓄総額:120万円

・現在の投資総額:45万円

・現在の負債総額:1,470万円

・住宅ローン:物件購入額=借入額1,500万円、金利 最初の5年0.68%残り30年1.18% 借入期間35年


高山:ご相談ありがとうございます! 現在の家計の状況で300万円の車を買っても良いかどうかのご相談ですね。車は大変便利な乗り物ですが、買ったらおしまいではなく、その後もローンの返済が続いたり、維持費がかかったりして家計に負担がかかります。まずは、現在の年収で300万円の車を買うことが妥当なのかどうか見てみましょう。

年収から見る適正な車の価格とは

車は高額な買い物ですから、自分の年収や暮らしぶりに見合った車を買わないと家計に負担がかかり、生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。

ライフスタイルや生活状況により違いはありますが、一般的に車を購入する予算の目安は、年収の半分以下と言われています。ご相談者さんは年収400万円程度かと思いますので、目安としては200万円以下となります。ただし、車は買ったら終わりではなく、購入後も税金や保険料、ガソリン代、人によっては駐車場代など維持費がかかります。また、車検やオイル交換などのときにはまとまった出費になります。予算を決める際には、こうした維持費なども考えて予算を決める必要があります。

一般家庭における理想的な車の維持費の目安は手取り月収の5〜6%程度です。多くの場合、購入する車の金額が高くなればなるほど、維持費は高くなっていく傾向があります。

ローンを組んで買った場合の返済金額はどれくらい?

ご相談者さんは、300万円の車を買うために、その頭金として150万円を貯め、その後、ローンを利用して購入することを考えているようですね。車をローンで買うとなると、ローンの返済も家計に重くのしかかります。

前述したように、ご相談者さんの年収を考えた場合、300万円の車を購入するのは適正でありませんが、仮に300万円の車を、ローンを利用して購入した場合、どれくらいの返済金額になるのか見てみましょう。

カーローンの金利は、金融機関などによって異なりますが、比較的金利の低い金融機関で借りたとしても1.5%から3%程度です。借りられる期間は最長10年間が一般的です。

頭金150万円として、残りの150万円を3%で5年間ローンを組んだ場合、毎月の返済金額は2万6,935円になります。これに維持費が約1万円と仮定して加えると、毎月の車費用は約3万7,000円になります。これでは家計が圧迫されそうですね。では、10年間ローンを組んだ場合はどうかというと、毎月の返済金額は、1万4,484円になります。これに維持費約1万円と仮定して加えると、毎月の車費用は約2万5,000円になります。

10年ローンでも厳しい?

現在のご相談者さんの家計を拝見すると、通信費や食費など多少節約できる項目もありそうですが、特に無駄遣いをしている印象はありません。そうすると、仮に10年間ローンを組んだ場合でも、家計に余裕がなくなります。

ボーナス返済も併用するという手もありますが、コロナのように経済に大きな影響を及ぼす出来事が起きると、ボーナスは減額もしくはなくなってしまう可能性も高いでしょう。先行き不透明な今の時代は、ボーナスは当てにせずに、資金計画を立てることが大切です。

車購入より優先してやること

ご相談者さんのご希望に沿って、300万円の車を買う前提でシミュレーションをしてみましたが、問題は、そもそも車を購入するために頭金150万円を貯めることについてです。現在の貯蓄の状況を見ると、貯蓄総額は120万円とのこと。

あと30万円貯めて、車の頭金にと思っているかもしれませんが、現在、コロナの収束も目処が立たず、仮にコロナが収束しても、他の危機が襲ってくるかもしれません。お子さんも今後高校や大学に進学する可能性を考えると、教育費ももっとかかります。ですから、車の頭金とは別に生活費の1年分の貯蓄は欲しいところです。まずは、生活費の1年分の貯蓄を優先し、貯蓄総額240万円を目指しましょう。

現在は、毎月2万5,000円貯蓄ができているので、1年間で30万円。ボーナスから20万円を貯蓄すると1年間で50万円貯まります。2年6カ月間頑張れば125万円になり、現在の貯蓄120万円と合わせれば、生活費の1年分の貯蓄は確保できます。

どうしても車を買いたいという場合には、1年分の貯蓄ができてから検討してみてはいかがでしょうか。とはいえ、300万円の車は現在のご相談者さんの収入や生活状況からすると、予算オーバーといえます。予算をぐっと下げる、もしくは、カーリースという選択も考えられるでしょう。

ご相談者さんは、70歳を過ぎても住宅ローンの返済もありますし、シングルで老後を迎えるとなると、それなりに老後資金も準備していく必要があります。個人的には、車を所有する選択はお勧めしませんが、車を購入しても、なお将来に向けて貯蓄ができる余裕があり、もしものことが起きても当面生活できる貯蓄があるかどうかをよく見極めた上で車を購入するかどうか判断してください。

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