2023年まで市場拡大予測も!絶好調な半導体業界の注目銘柄8選

昨年は新型コロナウイルスの影響で、経済活動が停滞し、世界のGDP成長率はマイナスとなりましたが、半導体製造装置業界は成長を達成しました。直近の予測では、前年比15%増となり過去最高を更新したと報道されています。


半導体の製造装置販売額は4年連続で過去最高へ

新型コロナウイルスによる物流の停滞やエンジニアの移動制限、そして、米中ハイテク摩擦の激化によるファーウェイやSMIC(中国最大の半導体製造会社)への輸出規制強化の影響が懸念されましたが、杞憂に終わりました。

在宅勤務や在宅学習の増加、ウエブ会議などインターネットを利用したサービスの拡充、いわゆるDXと5Gがメモリやプロセッサの需要を牽引し、半導体メーカーの高水準の投資が継続しました。

国際半導体製造装置材料協会(以下、SEMI)は、半導体製造装置市場は、マイナス成長が2019年の1年で終わり、2020年から2023年まで4年連続で市場拡大が続くと予測しています。

成長率については、2020年は、上述したように前年比15%増、そして、2021年以降は、1桁台半ばの成長が続くとしており、このままSEMIの予測通りになれば、半導体製造装置販売額は4年連続で過去最高を更新することになります。2017〜2018年に流行ったバズワード、「スーパーサイクル」の再現です。

先の長い話なので、株価に織り込まれるには時間が必要ですが、このSEMI予測の達成確度が高まるにつれ、半導体製造装置関連銘柄の株価上昇にさらに弾みがつくと予想されます。

強気予測の理由は5G

どちらかといえば保守的なSEMIがここまで強気な予測をしているのは、今後「5G」の普及が加速することが背景にあると思われます。

5Gは、2019年後半に米国からサービスが始まりましたが、まだ、世界的にみて一部地域でしか5G通信網が整備されていません。5Gスマホを買ったのにそのメリットを体感した人はほとんどいないというのが現実です。

足下がそういう状況ですので、自動運転、遠隔医療、最近注目されている太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーの管理、そして、農業、漁業など第1次産業のハイテク化などが実現するのはまだこれからということになります。

したがって、5Gを起爆剤とした半導体需要拡大、そして、その拡大する需要を満たすための設備投資もこれからが本番――これがSEMIのベースシナリオと思われます。

製造装置3本柱を軸に素材系にも注目

半導体関連銘柄の多くは2020年に市場平均を上回る上昇を達成しましたが、中期的な成長ポテンシャルの高さを考えると、2021年も相場を牽引すると思われます。そして、その中心が、半導体製造装置ということも変わりません。

東京エレクトロン(8035・東証1部)、レーザーテック(6920・東証1部)、アドバンテスト(6857・東証1部)のほか、SCREENホールディングス(7735・東証1部)なども追い風が強まると思われます。SCREENホールディングスは収益性で見劣りしますが、追い風により利益率がアップすれば、株価は期待を上回る可能性があります。

今回は半導体製造装置について述べましたが、追い風は半導体素材系にも吹いています。信越化学工業(4063・東証1部)やSUMCO(3436・東証1部)などを中心に、トリケミカル研究所(4369・東証1部)や東京応化工業(4186・東証1部)なども注目したい銘柄と考えます。

<文:投資調査部 斎藤和嘉>

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