【KJ松井のCatch&Shoot(49)】米プロバスケットNBAワシントン・ウィザーズはトーマス・ブライアント(23)が左ひざ前十字靭帯の部分断裂で今シーズン絶望に。さらにラッセル・ウエストブルック(32)も左足四頭筋を負傷して1週間は離脱の緊急事態に陥った。だがその状況でフェニックス・サンズに大勝したことを本紙バスケット評論の京都ハンナリーズ、松井啓十郎(35)は「バスケあるある」と表現。一方で八村塁(22)がエースに叱咤されたプレーも見逃さなかった。
ウエストブルックとブライアントを欠いて今シーズン7勝3敗と好調で、西地区2位だったサンズとの試合は大敗してもおかしくない状況でした。
それが序盤から点差をつけて128―107の大勝。これはいわゆる「バスケあるある」です。
欠場の2人を合わせると1試合平均35得点と25リバウンド近くを稼いでいたのがゼロになります。
特にブライアントは若くて、本当に頑張っていたのがもう出られなくなりそうですから「彼の分も頑張ろう」とチームが団結。特にリバウンドにそれが現れていました。
主力が怪我で欠場すると他の選手の意識が高まって力を発揮するのはチームスポーツのいいところ。これはNBAでもBリーグでもけっこう「あるある」なんです。
その試合で八村選手は利き腕ではない左手で難しいフックシュートを決めていました。
普通に右手で打っていたらブロックされるので左手でシュート。元々器用なところはありますから、こういうプレーをコンスタントにできるようになってほしいですね。
一方で前半終了直前のジャンプシュートを外したシーンでは、パスをしたブラッドリー・ビール(27)に「あんなシュートを打つな。ダンクしろ」と叱咤されていました。
フリースローライン付近で前が空いていたのでそのまま打ったのでしょうが、それならより確率が高いダンクをしろ、ということです。
残り13秒だったのでリバウンドを取ったサンズはシュートまで持っていく時間がありました。
これは外れましたが、もしスリーポイントを決められていたら、八村選手が得点できなかったのと差し引き5点違うことになります。今日は26点の大量リードを奪っていましたが、接戦でこれをやってしまうと大きなダメージを受けます。
それならダンクで相手にダメージも与え、チームも盛り上がってハーフタイムとなるプレーをしろ、というのがビールの言いたかったことです。
大差の中でもこれだけの勝利へのこだわりは、さすがエースというシーンでした。
ウィザーズはこのホーム初勝利をいいきっかけにしてほしかったところですが、12日(日本時間13日)になって八村選手らが新型コロナウイルスの感染防止規定の対象となり、13日(同14日)のユタ・ジャズ戦が延期となりました。
チームメートとともに、大事にならないことを祈るばかりです。