「戦争体験 後世へ」 学童疎開の証言冊子に

完成した冊子を手にする交流会事務局長の甲斐誠二さん

 太平洋戦争中の日向市に、沖縄県浦添市の浦添国民学校が集団疎開した記録をまとめた冊子「浦添国民学校学童集団疎開と疎開記念之碑の建立記」が完成した。日向市在住の当事者らでつくる「浦添学童集団疎開日向・浦添交流会」が発行。「戦争を二度と繰り返さない教訓にしてほしい」との思いを込めた。
 冊子によると戦況が悪化した1944(昭和19)年、同校の学童や教師ら計約130人が戦禍を逃れるため日向市に疎開。同市内の国民学校3校に2年間通った。同交流会は97年、日向市の国民学校の元児童や元教師らで発足。記念碑は2001年、日向市制施行50周年を記念し、行政や交流会などが市内3カ所に建立した。
 冊子には当時の学童や教師らの体験記や写真、疎開生の名簿などを掲載。「勝つためなら何でもします」と、浦添国民学校の3年生以上の子どもたちが飛行場建設に動員されたり、警戒警報が鳴った翌朝、防空壕(ごう)を見に行くと崩れており、九死に一生を得たりしたなどのエピソードを紹介している。
 A4判126ページで50冊を製作。日向市役所や市立図書館などに配布する。同交流会事務局長の甲斐誠二さん(83)=日向市財光寺=は「集めた資料を原稿化する時には涙があふれた。記念碑の意味を後世に伝えるためにも、残しておきたい証言が詰まっている」と、閲覧を呼び掛けている。

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