SNS各社が悩むヘイトとコミュニケーションの問題、その解決策は?

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。12月11日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、「SmartNews」コミュニケーションディレクターの松浦シゲキさんが“ポジティブなコミュニケーション”について述べました。

◆SNSの差別や中傷に対する対策は?

Twitterはヘイト行為に関するルールを変更。新ルールでは相手の人種や民族、出身地に基づいて人間以外のものに置き換えて表現することを禁止しました。今後これらの違反報告があった場合、該当ツイートを削除するよう求めるほか、悪質な場合はアカウントの凍結なども行うとしています。

Twitterの今回のアップデートに関し、具体的な例を松浦さんがフリップを使って紹介。するとそこには酷いワードが散見し、MCの堀潤も「僕はこういうのを見つけたらすぐに通報している」と眉を細めます。

こういったルールの明確化はTwitterだけでなく他のSNSでも行われており、例えばFacebookはヘイトスピーチについて規定済。他人を攻撃することを禁じていますが、何をもって攻撃とするかということについても日本語で規定されています。

また、Instagramでは10月6日に不適切なコメントの再考を求める機能を拡張。追加の警告を表示することになりました。そしてYouTubeも、コメント内容が攻撃的な可能性があると人工知能(AI)が判定した場合、ユーザーに投稿の再検討を促すメッセージを表示する機能の実装を発表しています。

こういったことは「表現の自由」と比較されがちですが、まずは各社「ただ(投稿を)止めるわけでなく、(再考を)促している」と松浦さん。とはいえ「ヘイトコメントに関しては、そのコミュニケーションで本当にいいのか」という疑念も残っていると補足。

◆今こそ考えるべきコミュニケーション

そんな現状のなか、松浦さんは「もう一歩踏み込んでこの攻撃性について考えたほうがいい」と訴えます。

例えば、最近話題のナイキジャパンによるPR動画。世間では賛否両論巻き起こっていますが、松浦さんは「コミュニケーションの手法は好きではない」と言い、意見の発信という面では理解するも「間接的に否定の意味を込め、何かしらの対象を攻撃するというコミュニケーションが、今後問われていくのではないか」と示唆。

つまり、「新しい考え方が正しいとして、従来の考え方を攻撃して共感を得るコミュニケーションがある」と言い、単純に考え方が「古くさい」と意固地になってしまうことを危惧。「せっかく社会が変わっていくなか、対立や分断を生んでしまい、前に進まないコミュニケーションになってしまう」と注意を促し、そういった間接的なアプローチに関して「もっと踏み込んで考える時期にきている」と松浦さん。

一方で、世間ではSNSぐらい自分の感情をぶつけさせてほしいという声があるのも事実で、松浦さんは「許容・寛容という部分もあるが、やはり一歩立ち止まって考えてみること」の重要性を尊重。そして、「ポジティブなコミュニケーションになっているかどうかは意識付けていかないと、ふとしたときにヘイトの感情になってしまうこともあるので、もう一歩踏み込んで考え、問題を理解して解決方法を考える。そうしたポジティブなコミュニケーションを意識していきたい」と主張していました。

番組Twitterには、視聴者から「そこまで気を遣って、当たり障りのない意見を表明し続けても社会は現状維持を選択し続けるんじゃないかな」という意見が。これに松浦さんは「難しい問題で、議論も必要。僕は批判がダメとは言っていない。そこも含めてポジティブに考えていきましょう」と答えていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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