トヨタ、新型ル・マン・ハイパーカー『GR010ハイブリッド』を正式発表。WEC/ル・マン24時間へ投入

 トヨタGAZOO Racingは1月15日、ル・マン24時間レースを含む2021年シーズンのWEC世界耐久選手権へ新規投入するル・マン・ハイパーカー(LMH)規定の新型レーシングマシンを正式発表した。『GR010ハイブリッド』という名前が与えられたマシンは、3.5リッターV6ターボエンジンとハイブリッド・システムを搭載する。

 合わせて2021年のWEC参戦体制も発表され、ドライバーとしては2019/20シーズンと同じく、マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスが7号車を、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレーが8号車をドライブすることになった。ニック・デ・フリーズも引き続きテスト兼リザーブドライバーとして名を連ねている。

 ル・マン24時間を含めた全6戦で争われる2021年のWECは、最高峰クラスが2020年までのLMP1(ハイブリッド)規定から、LMH規定へと生まれ変わる。この『ハイパーカー』クラスにはLMH車両のほか、北米IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の次期最高峰規定である『LMDh』車両も将来的に参戦可能となる。

 トヨタは2012年、レーシングハイブリッドを搭載した『TS030ハイブリッド』でWECとル・マン24時間のLMP1クラスに参戦(復帰)。以来、2014年に『TS040ハイブリッド』、2016年には『TS050ハイブリッド』へとマシンを進化させていった。

 2016年のル・マン24時間では初優勝目前で『3分前の悲劇』を味わい、また続く2017年にも参戦した3台すべてが勝機を逸すなどしたが、2018年にはセバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソの手により、トヨタにとって悲願であったル・マンの総合優勝がもたらされた。

 その後ル・マンでは2019、2020年と優勝。ル・マン4連覇を目指すトヨタがTS050ハイブリッドの後継として投入するのが、今回発表された新型LMH車両『GR010ハイブリッド』である。この車両は2020年10月にシェイクダウンテストが行なわれ、非公開で開発が進められていた。

 15日にトヨタから発表されたリリースのなかで村田久武WECチーム代表は、「WECにとって、とても面白い時代の幕開けだと思います。新たにハイパーカークラスが生まれ、そこに参戦する新しいマニュファクチャラーと一緒に、多くのファンの方々にレースの興奮と感動を届けられると思っています」とコメントしている。

2021年1月15日に正式発表されたトヨタGR010ハイブリッド

 2021年からスタートするLMHではトヨタの他、アメリカのスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスが今月のシェイクダウンを目指して『SCG 007』を開発中であるほか、バイコレス・レーシングも参戦の意思を明らかにしている。また、プジョーもLMHマシンを開発、2022年からの参戦を目指している

 なおハイパーカークラスでは、初年度の2021年シーズンに限ってハイブリッドシステムを搭載しないLMP1マシンの参戦も認められることになっており、アルピーヌ・エンデュランス・チームがこの特例により参入する。

 2021年のWECは3月にアメリカのセブリングで開幕。第2戦がベルギーのスパ・フランコルシャンで行なわれたたのち、シリーズ最大のハイライトである6月のル・マン24時間を迎える。翌月に初開催となるイタリア・モンツァ戦を経て、9月には日本の富士スピードウェイでも6時間レースが開催される。その後、バーレーンで閉幕する予定となっている。

 なお、発表されたGR010ハイブリッドについては、本日1月15日(金)発売の『auto sport No.1545』が、37ページにわたって詳報している。

2021年1月15日発売のauto sport No.1545表紙

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