【新型コロナ】40代以上の療養者に重点 神奈川県の見守り、月内に新体制移行

新型コロナウイルスへの対応を議論した県の感染症対策協議会=18日夜、県庁

 新型コロナウイルスを巡り、神奈川県は18日、保健所や病院関係者らによる感染症対策協議会を開いた。自宅や宿泊施設での療養者の増加に伴い、重症化するリスクが高いとされる40代以上の療養者への見守りを重点化させる方針を決めた。県内では宿泊施設や自宅で療養中に死亡するケースが発生しており、今月中に新たな体制に移行する。

 県は現在、容体の急変に備えて県内全域の療養者に対して安否確認や健康観察の連絡を実施。これまでは血中酸素飽和度を計測するパルスオキシメーターを療養者全員に貸与しているが、40代以上に限定し、39歳以下は医師が必要と判断した人にだけ貸与する。体制を見直すことで職員がリスクの高い療養者に手厚く対応できるようにするほか、療養者の増加に伴うパルスオキシメーターの不足にも備えるという。

 また、病床の逼迫(ひっぱく)によって入院先が決まらずに自宅で待機してもらうケースも発生しており、入院待機者らには毎日、保健師が電話で体調を確認する。

 療養者の容体が悪化して医師が対応する基準の一つには、血中酸素飽和度93%以下とする基準を示した。会議に参加した医療関係者からは手遅れになることを懸念する声も出たが、県側は「本当に病床が空いていない」と訴えた。

 協議会後に取材に応じた黒岩祐治知事は、「誰かを切り捨てる訳ではなく、リスクの高い人にはちゃんと対応する」と述べ、体制の見直しに理解を求めた。

 協議会では、容体が悪化した療養者の入院先が決まらない場合の応急的な対応策も議論した。県側は災害時の救護所を参考に、一時的に酸素吸入を行う応急処置拠点「HOTセンター」の設置を提案。今月中の運用開始を目指すとしており、必要に応じて自衛隊への協力要請も検討するという。

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