箱根の春告げる山焼き 湿生花園

火入れで大きな炎が上がる枯れ草=箱根町仙石原

 箱根湿生花園(箱根町仙石原)は18日、隣接する「仙石原湿原植生復元区」で恒例の火入れを行った。国と県の職員やボランティアらが見守る中、同園職員がトーチを手に枯れ草に火を付けると大きな炎が上がり、約1時間かけヨシやススキ、ノハナショウブなどの枯れ草約1ヘクタールを焼いた。

 火入れは植生保護のため植物の休眠期に当たる1~3月ごろに毎年実施。火入れや草刈りによって樹木の繁茂を防ぎ、背の低い植物が生育できる環境をつくることで多様な植生を守っている。冬の間に土中に落ちた種子は、5月ごろに芽吹くという。

 同園の松江大輔学芸員(38)によると、仙石原地区では火入れと草刈りによる草地管理が江戸時代から伝統的に行われていたという。しかし、湿原保護のために同復元区が県有地となった1970年を機に中断された。その後、ハンノキなどの木々が生い茂り、かつての湿原の景観が失われてきたことを受け、89年から再開された。

 同園は現在、冬期休園中で、3月20日から開園する。

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