年俸調停中のエンゼルス・大谷 米球界は完成しない「二刀流」の価値を疑問視

故障が続き、完全な「二刀流」を披露できていないエンゼルス・大谷

エンゼルス・大谷翔平投手(26)にとって、メジャー4年目の今年は二刀流継続の是非が問われる重要なシーズンとなりそうだ。

今オフ、大谷は初めて獲得した年俸調停権を行使。今季年俸330万ドル(約3億4300万円)を主張し、エンゼルス側の250万ドル(約2億6000万円)との間で妥協点を見いだせず、決着は2月の年俸調停委員会聴聞会に持ち越しとなっている。

争点は二刀流の価値判断。大谷と契約する大手代理人事務所のCAAは「投手としての価値を加味すると、純粋なDHとは選手としての価値が違う」と聴聞会で主張してくるものとみられる。

しかし、右ひじのトミー・ジョン手術の影響もあり、この3年間で投手としてわずか12試合(計52回1/3)しか登板のない大谷の二刀流継続に疑問の声が増している事実も見逃せない。

米西海岸のメディア関係者は「投手と打者、両方で飛び抜けた才能があることは理解している。ただ、その耐久性、継続性には大きな疑問符がつく。日本ではできた(シーズンを通した)二刀流をMLBでもできるという証明は今のところ果たせていない。投手として復帰する度に(周囲が)故障の心配をしなければいけないという二刀流では、その価値判断は難しい」と手厳しい。

大谷がシーズンを通して投打でフル回転したのは、投手として21試合に登板し10勝4敗、防御率1・86、打者でも出場104試合で打率3割2分2厘、22本塁打、67打点をマークした日本ハム時代の2016年のみ。以後、日米野球で痛めた右かかと痛によりWBC日本代表を辞退した17年から日米4シーズン連続して故障禍に見舞われ、満足に投打二刀流をこなせたシーズンはない。

前出のメディア関係者も「その完成形を見るまで(二刀流が)できることの証明にはならない」と言うように、周囲の目はよりシビアになっている。大谷の代名詞でもある二刀流に大きな進歩が見られなければ、否定的な意見も活発になってきそうだ。

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