浸水の川崎・市民ミュージアム 庁内の建物利用希望なし

台風19号で浸水し、岐路に立つ川崎市市民ミュージアム=同市中原区(写真は2018年当時)

 2019年の台風19号で地下収蔵庫などが浸水した川崎市市民ミュージアム(川崎市中原区)の建物について、庁内で他事業での利用希望がなかったことが20日、明らかになった。市は建物の今後について、慎重に検討を進める。

 ミュージアムのあり方検討部会は昨年11月、同施設が立地する等々力緑地以外に新施設を整備することが望ましいという意見で一致。これを受け、市は現建物の浸水リスクや損傷などを踏まえ、ミュージアムとして使用しないことを決めていた。

 一方、現建物は建築家の巨匠、菊竹清訓の設計で建築的価値が高い。このため、市は他の利用可能性を探ろうと同12月3~21日、庁内で利用希望を募ったが、希望は寄せられなかったという。

 建物の使い道が見つからなかったことを受け、市は改めて建物をどうするか検討を進めている。市民文化振興室は「菊竹建築であり、遺族や関係者もいる。丁寧に調整する」としている。

 同建物は築30年以上で経年劣化が激しい上、被災による電気、機械設備の損傷も少なくない。利用するには高額な復旧費用が必要という。

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