役所広司 念願の西川美和監督作品出演に「脚本を読む前から参加したかった」 「すばらしき世界」で主演

俳優の役所広司が、人生の大半を刑務所で過ごした元殺人犯を演じた「すばらしき世界」のプレミア上映イベントに、監督の西川美和らと登壇。撮影や作品などについて語った。

西川組に参加したかったという役所は、「こういった題材で企画が通るのは、西川さんのこれまでの実績の賜物。脚本を読む前から 参加したかった」と明かし、「西川監督は写真よりも美人。脚本を読んだら裸のシーンが多かったので、身も心も裸にされるのかと緊張しました」とニヤリ。西川監督の演出については、「スタッフに意見を言わせる雰囲気を作るのが上手い方。みんなでシーンやキャラクターについて考えるような組でした。その空気作りは監督として素晴らしい才能だと思う」と、チームワークを大切にするスタイルを絶賛していた。

本作は、第56回シカゴ国際映画祭で、役所がインターナショナルコンペティション部門にてベストパフォーマンス賞を、作品が観客賞を受賞。壇上ではシカゴから届いたばかりの受賞トロフィーと盾がお披露目された。ベストパフォーマンス賞を受賞した役所は、トロフィーを手に「作品の力があってこその個人賞。できることならばトロフィーを切り刻んでみんなで分けたい。でももったいないので僕が預かっておきます」と饒舌に語った。

演じた役柄にちなんで、仲野と長澤がレポーターとして役所に直撃質問することに。「撮影で大変だったことは?」と仲野から聞かれた役所は、「それはいつも取材で聞かれて我々が困る質問だよ!」とぼやきつつも、「商店街を 50 メートルダッシュするのは距離感も上手くいかなくて、自分の体力の衰えを見せつけられたシーンでした」と照れ笑いを見せた。

最後は、「この映画を観ていただくと、心のどこかでホッと晴れ晴れするような気持ちになるはず。気に入っていただけたら色々な方々に勧めてほしい」と広がりを期待し、イベントを締めくくった。

「すばらしき世界」は、直木賞作家・佐木隆三氏の小説「身分帳」を原案とし、西川美和が監督・脚本を担当した作品。初めて実在の人物をモデルとした原案小説をもとにした作品を手がけ、舞台を約35年後の現代に置き換えて、徹底した取材を通じて映画化に挑んでいる。生きづらい社会の中で、一度レールを外れても懸命にやり直そうとする実在の男と、彼を追う若きテレビマンのカメラを通して、社会と人間の「今」を描いている。

すばらしき世界
2021年2月11日全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
©佐木隆三/2021 「すばらしき世界」製作委員会

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