東京五輪〝強行開催〟カネ目当てではない? IOC・バッハ会長が本当に欲しいもの

IOCのバッハ会長(ロイター)

開催強行の裏にある思惑とは――。新型コロナウイルス禍で東京五輪開催は大ピンチだが、国際オリンピック委員会(IOC)の〝大ボス〟ことトーマス・バッハ会長(67)はヤル気満々だ。

バッハ会長は共同通信のインタビューで「7月に開幕しないと信じる理由は現段階で何もない。だからプランB(代替案)もない」と語り、中止や再延期の可能性を否定。さらに「安全が最優先という点でタブーはない」と無観客開催への含みも持たせた。

その一方で大きなこだわりもある。それが今回のインタビューで明かした「広島」への訪問だ。五輪が開催されるはずだった昨年、バッハ会長は平和記念公園(広島)の聖火リレーイベントに出席し、原爆死没者慰霊碑での献花や平和記念資料館の訪問を予定していた。大会延期で実現しなかったが、今回はスケートボードなどアーバンスポーツの祭典「FISE 広島」(開催未定)の訪問まで視野に入れ、広島行きを熱望したという。

この広島訪問プランは壮大な野望の実現と密接に関わる。ある五輪組織委員会関係者は「(バッハ会長は)とにかく『平和』と名が付くイベントが大好き。特に広島は〝平和の祭典〟をアピールするには絶好の場所です。コロナに打ち勝って五輪を成功させ、最終的にノーベル平和賞をもらうのがゴールですよ」と明かした。

バッハ会長は2018年平昌五輪後に訪朝し、北朝鮮の要人と面会。昨年の来日時も日本の政府関係者と連日会談するなど、その動きはまるで政治家そのもの。一部では〝カネの亡者〟との指摘もあるが、前出関係者は「それは間違い。もう、お金は持っている。名誉が欲しくてたまらないんですよ」と説明した。

今年で任期満了の予定だったバッハ会長は、昨年7月に続投を表明したのも、その意気込みの表れ。IOCトップのシナリオ通りに事が進むのか。

© 株式会社東京スポーツ新聞社