【長崎新聞社アンケート】コロナ特措法改正案 罰則に賛否 経済支援待望

 新型コロナウイルス対策で行政に私権制限を伴う強制措置を認める特措法改正案。長崎県内の飲食店など100店に実施したアンケートでは、感染拡大抑止の観点から半数が容認した。特に、罰則を巡って賛否が割れる一方、厳しい経営事情から経済支援を待望する声が強い。
 「今は感染を抑えるのが最優先」(長崎市・レストラン)、「医療崩壊を防ぎ、危機感を国民が共有するために仕方ない」(松浦市・食堂)。強制措置に理解を示す意見は多かった。西彼時津町のレストランは「協力しない事業者がいると対策の効果が薄まり、不公平や不満を生じさせかねない」。対馬市のスナックは「協力金頼みで時短や休業を続けると事業者のやる気をそぐ」と危惧した。
 罰則に抵抗感を抱く店も少なくない。大村市の居酒屋は「厳しすぎる。せめて酒類提供時間を延ばすか、協力金の額を引き上げて」と注文。島原市のラーメン店は「午後7時以降に酒を提供していないかをチェックできるとは思えない」と実効性を疑う。
 矛先は政府の姿勢にも向く。反対する長崎市のレストランは「自由市場であるべきだ。罰は上から目線」。同市の料亭は、罰則で人を従わせた江戸時代の「生類憐(あわれ)みの令」と重ねる。「首相が政府答弁を棒読みせず、きちんとメッセージを伝えれば、国民は納得して従う。罰則で従わせるのは下手な策。国民を信用していない」と切り捨てた。賛成する平戸市の割烹(かっぽう)も「人命第一なので、やむを得ない。だが、やるからには『失敗は許されない』と政治家は責任と覚悟を持って」と訴える。


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