緊急事態宣言で再び学校休校の必要はあるか?子がいる家庭で最も有効な感染防止策は

新型コロナウイルスの第3波が襲来しています。日ごと増加する重症患者数は緊迫感を増し、危機感を持つ人も増えていることと思います。昨年末にはGo Toトラベルキャンペーンも中止が発表され、首都圏などに緊急事態宣言が出されました。

前回の緊急事態宣言では、感染防止策としてほとんどの学校が休校になりました。今回の話題は、子供に対する新型コロナウイルス感染症についてです。実は、学校での集団感染について、インフルエンザと新型コロナウイルスでは大きく異なることが分かってきました。


学校休校で何が分かったか

4月の緊急事態宣言下では、おおむね学校への登校は禁止されました。これは学校での集団感染のリスクを考えてのことです。これまでインフルエンザによる学校内での集団感染は、たびたび経験されてきました。このため、新型コロナウイルスに関しても同じことが起こらないかという懸念が大きかったのです。

この時、お子さんを抱えている親世代の方々は、子供が学校に行かずにずっと家にいるために出勤ができなったことと思います。また、在宅勤務でも子供の世話で仕事が進まなかったことでしょう。子供たちにとっても新学期が始まらず、新しい担任の先生やクラスメートに会えないことから不安を招いたようです。

緊急事態宣言解除後、学校は6月から順次再開され、12月時点では毎日登校していますが、小学校でのクラスターは職員の感染によるもので、学童の複数感染によるクラスターはほとんど報告されていません。

何が分かってきたか

新型コロナウイルスが年齢とともに感染率と重症率が上がることは、皆さんもご存じのことだと思います。これはウイルスが細胞内に入る鍵穴となるACE2(アンギオテンシン変換酵素2)受容体という物質の発現量が、年齢とともに増加するためだと言われています。つまり鍵穴が少ない子供は、ウイルスが細胞の中に入ることができないので感染しにくいのです。

国内での小中高等学校での感染の状況を示すデータが報告されています。表は、文部科学省が作成した 「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」(2020.9.3 Ver.4)に示した2020年6月から8月末までの児童・生徒の感染状況です。

小学校での感染者数は2か月間で428人ですが、小学校内で感染したのは9名わずか2%に過ぎません。学校での感染の割合は、中学校では7%、高校では33%と上がり、高校生では家庭内感染と学校内感染がほぼ同数になります。

家庭内感染がメイン

小学生の感染で最も多いのは家庭内感染です。先ほどのデータでは、76%が家庭内感染でした。小学生の感染率が低い、重症化しにくいのは、世界的に共通の事項です。

つまり、小学生が学校で新型コロナウイルスに感染し、大流行を引き起こす可能性は非常に低いと考えられます。インフルエンザとは感染のパターンが異なるのです。

一方で一番の問題は、家庭内感染です。これは第3波の感染源での分析でも明らかで、父親あるいは母親がどこかで感染し、気が付かない間に家族内に感染を広めてしまっています。

やはりお父さん、お母さんが感染を持ち込まないように注意することが一番大事だということです。子供たちを守るためにも、日々の生活に細心の注意を払いましょう。

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