稼げるの?稼げないの?1000人以上が回答した「副業での収入」の実態に迫る

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、世界中の経済が大きな影響を受けています。日本経済、私たちの勤務先、取引先でも打撃を受けているところが大半であり、「コロナショックのダメージは、リーマンショックを遥かに超える」という見立てをする専門家もいるようです。

コロナ禍以前より伸び悩んでいた景気の打開策の一つとして、政府では「働き方改革」を呼びかけ、各企業および就労している人に対し、「副業」を推進する動きがありました。

どんなものが副業に相応しく、副業にはどんなメリット・デメリットがあるのか――。こういったことは、手探りで経験値を上げていくか、先立って副業を行っている人たちからの知恵や体験を参考にするしかありません。

そんな中、バーチャルオフィスを運営するゼニスが興味深い調査結果を発表しました。「現在副業をしている男女1063人」に対するアンケート調査で、副業に関する生々しい結果が明らかになっています。今回はこのデータを元に、副業の実態に迫ります。


副業しやすい職業と、副業しにくい職業とは?

まず始めに副業を行っている人に対し「本業の業種を教えてください」の男女別の調査結果から見ていきます(上位5業種)。

副業を行う男女ともに多いのが製造業で、男性は19.3%、女性は13.1%となっています。また、2番目に多いのは男女とも卸売・小売業で、男性は11.0%、女性は10.1%という結果でした。

以下はあくまでも推測ですが、製造業は製品が商材として軌道に乗ればタイムマネジメントがしやすく、副業に充てる時間が作りやすいからではないでしょうか。また卸売・小売業も時世からの影響が少ない商材を扱っているのであれば、やはり「副業するための時間」が取りやすいのではないかとも思います。

一方で、5位にランクした建築・土木・建設業、医療・介護・福祉などは肉体的・精神的疲労度が高い上、ときには時間外労働を強いられることがありそうで、前述の業種に比べると副業のハードルが上がるようにも思えます。

コロナ禍で減った本業の収入減少と、副業を始めた期間

次に未曾有の事態となった新型コロナウイルス感染拡大の影響で、本業での収入の変化を見ていきます。

「今年(2020年)に入ってから本業の収入額が変わりましたか?」と「どのくらい減りましたか?」の2つですが、男女とも4割ほどの人が「減った」と回答。さらにその額を見ていくと、男女とも3割ほどの人が月ごとに「1万円以上3万円未満」の収入減となったことを示しています。

見逃すことができないのが、月「10万円以上」の収入減となった人が、約1.5割もいること。全体の収入額にもよりますが、毎月10万円以上の減少は生活に大きな影響を及ぼします。

こういった減収分をなんとか補うため、副業を始めた人は多いようです。次の「副業を始めたきっかけを教えてください」「副業を始めてからどれくらい経ちますか?」の結果にも顕著に表れています。

男女とも半数以上の人が「収入『額』を増やしたかった」と回答しました。また、「収入『源』を増やしたかった」も男性で20.7%、女性で17.5%がいます。

同じようにも聞こえながら微妙に異なる「額」と「源」。「収入額を増やしたい」のは誰でも思うことですが、「収入源を増やしたい」というのは、コロナ禍での「源さえも失うかもしれない不安」を表しているように思いました。

一方、「副業を始めてからの期間」では、男女とも「3年以上」が最も多いものの、特に女性では「3ヶ月以上6ヶ月未満」「3ヶ月未満」の人が多い点も見逃せません。調査時期(2020年10月)と照らし合わせて考えると、まさに新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が発出された今年4月以降に、副業を始めた女性が多かったことが分かります。

一番人気はローリスクのアンケートモニター

次に「副業の中身」を見ていきましょう。「どのような副業をしていますか?」というクエスチョン(上位5位)ですが、1位は男女ともにアンケートモニターで、男性が32.8%、女性が44.0%と約3人に1人以上が行っているようです。

ローリスク・ローリターンではあるもののアンケートに答えるだけで、現金やポイントなどが得られる点が魅力のアンケートモニター。パソコンやスマートフォンで気軽に行えるのも人気の理由でしょう。

一方、2~4位までは「株式投資」「ポイントサイト・ポイント投資」「FX(外国為替証拠金取引)」が続々とランクイン。こういった投資系の副業は、情報収集の必要と相応のリスクはありますが、比較的ハイリターンなので多くの人が取り組んでいるようです。

また、近年話題のクラウドソーシングは男女とも5位に落ち着いています。専門サイトを介して「自分が習得している技術やサービスを提供し対価を得る」もので、ローリスクで参加しやすいメリットがあります。

しかし、市場拡大に期待を寄せる向きが多い一方、まだまだ途上の分野で、収入の相場は一般市場よりもはるかに安いことも否めません。サービスの提供には相応の労力や時間もかかるため、効率的に稼げる副業として捉える人が少ないことが伝わってきます。

「副業で得られる収入額」の現実とは?

ゼニス調べ

さらに、これら副業によっての収入額を見ていきましょう。また、現在行っている副業が果たして本業になり得るかも考えてみます。
まず、「副業での収入額は毎月どれくらいですか?」という質問に対する回答では、「1万円未満(33.2%)」が最も多いという甘くない結果が出ました。次いで「1万円以上3万円未満(24.3%)」「3万円以上5万円未満(16.2%)」と続き、副業によって10万円以上の収入を得ている人は全体の1割に満たないことも明らかに。パソコンやスマートフォンさえあれば簡単にできそうな副業ですが、実際に稼ぐのは難しいことを数字が示しています。

また、こういった厳しい副業状況を反映し、「現在している副業が本業になり得ますか?」という問いでは、「いいえ」が83.6%にも及びました。「本業になり得る」と考えるには、まず生業と同等かそれ以上の収入を得られないといけません。この回答結果は当然のようにも思いました。

副業を行う上で避けて通ることができない「困ること」とは?

ゼニス調べ

さらに、「副業をしていて困ることを教えてください」の回答結果を見ていきましょう。副業をする人に共通するものとしては「想定していたよりも収入額が少ない(45.3%)」がトップになりました。

また、「確定申告などの手続きが煩雑(20.6%)」「忙しくて本業に影響が出る(20.4%)」といったものもあり、これらの労力に対し、取り組む副業が相応しいかどうかも見極めないといけないことがわかります。

一方、「自宅住所を晒すリスク(7.3%)」「代金未払いのリスク(5.7%)」といったものもランクしています。様々な問題へのヘッジを準備するとなると、副業へのハードルは予想以上に高いこともうかがえます。

副業を「サブの仕事」と考えるか、「本業と並行して行う仕事」と考えるか

副業を志している人にとっては、耳の痛い話も多かったものの、一つ言えることは「やらないよりはやったほうが良い」ということです。例えば、前述のアンケートモニターなどはローリターンではあるものの、リスクが少なく時間さえあれば誰でもできることから、今すぐにでもやって損はないでしょう。

また、大半の人が面白いほどに副業で稼げているわけではない一方、一部には毎月10万円以上もの収入を得ている人がいるのも事実です。

副業を単に「サブの仕事」と考えるか、あるいは「本業と並行して行う仕事」と考えるかによって、取り組み方や行動も変わり、その差が「稼げる」「稼げない」の明暗を分けているようにも思います。言うに及ばず、多く稼ぎたい人は、受け身ではなくより貪欲に副業に向き合っていくべきでしょう。

本業での勤務では、個々の尽力がすぐさま給与に反映されることは少ないと思われます。しかし、副業は取り組み方次第ですぐに収入に反映されます。つまり、副業は受け身ではなく、能動的に取り組み、積極的に行う仕事……こういった心持ちで取り組むのであれば、収入も上昇していくのではないかと思いました。

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