潜伏キリシタン 関係性に注目 諫早市教委 関連遺跡を初調査

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鎌倉時代から江戸時代までの石塔がある山川内遺跡(中央)=諫早市多良見町(市教委提供)

 長崎県諫早市教委は本年度、市内のキリシタン関連遺跡などの調査に初めて着手した。天正遣欧少年使節の千々石ミゲルの墓所推定地の民間発掘調査をきっかけに、市全域に点在する遺跡などの学術的価値を明確にした上で、保存活用策を検討する。調査対象の中には、潜伏キリシタンとの関係性をうかがわせる仏像もあり、諫早とキリシタンを結び付ける新たな史実の解明が期待される。

◇新たな史実の解明へ

 ミゲル墓所推定地は子孫や市民主体の実行委が2014、16、17年の3回、発掘調査を実施。ミゲルの妻とみられる人骨や歯などが見つかり、子孫らの民間組織は今年、ミゲル本人の遺物発見を目指して4回目の発掘調査を計画している。
 過去3回の発掘調査をまとめた報告書が19年、市に提出されたのを受け、市文化財保護審議会は同10月、ミゲル墓所推定地を含む山川内遺跡(多良見町山川内)など6カ所のキリシタン関連遺跡などの調査を市に求める答申を行った。
 市教委は20年6月、考古学などの専門家で構成するキリシタン関連遺跡等調査指導委員会(下川達彌委員長)を設置。江戸時代を中心に市内全域のキリシタン関連遺跡と出土品、伝承地、伝世品を対象とする基本方針を決めた。今後、山川内遺跡やミゲル墓所推定地周辺(市有地)の範囲確認などを実施、23年度に報告書をまとめる計画。

諫早のキリシタン関連遺跡など

 市教委は本年度、調査費用200万円を計上し、4カ所を調査中。中国・明時代に生産された白磁の仏像「伝『マリア観音像』」は江戸時代、長崎で摘発対象だった潜伏キリシタンの信仰具とみられる。長年、多良見町の個人宅で残されてきた伝世品で、今後、伝承の状況などを調べる。
 19年の市文化財保護審議会の答申に含まれていない市内の寺院所有の墓石も、潜伏キリシタン墓碑の可能性を視野に調査する。石造りの神殿などの扉を転用し、背面に十字架型の加工が施されている。
 諫早市は江戸時代、現在の多良見町伊木力地区が大村藩、同町大草地区より東側は佐賀藩諫早領だった。市文化振興課は「キリシタン大名だった大村藩と仏教信仰の諫早領の歴史の違いが、調査を通して見えてくる可能性がある」と説明。これまで市内のキリシタン関連遺跡の存在は注目されていなかったが、同課は「現存する遺跡などの価値が分かれば、世界遺産に登録された『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』のある地域と連携した活性化にもつなげられる」と期待を寄せている。