天下の険を踏みしめ70年 箱根登山鉄道「モハ2形」3月引退…コロナ禍でイベントはなし

3月に引退する「モハ2形109号」(箱根登山鉄道提供)

 長年にわたり箱根の交通を支えてきた箱根登山鉄道の車両「モハ2形109号」が3月21日、引退する。車体の老朽化によるもので、同社は「最後まで温かく見守ってほしい」と話している。

 同社によると、109号は1927年以降に登場した木造車「チキ2形」を造り替え、53年9月に「モハ2形」に更新された。55年に鉄製車体に改造されたが、現在でも屋根の一部などに木造部が残っている。同社車両で、最も古い車両の一つとなっている。

 109号は改造後も70年近く走り続け、2019年には、箱根湯本―強羅駅間の開業100周年記念で1935~49年ごろの塗装に復刻された。現在は別の車両と2両編成または3両編成で運行されている。

 ラストランに向け、2月13日から、車体に方向板を掲出。同20日からは、109号の写真を車内で掲示する。新型コロナウイルスの感染拡大もあり、ラストラン当日のイベントは現時点で予定していない。引退後は解体される予定という。

 同社鉄道部は「レトロさは新型車両にない魅力。長年多くの方に愛されたことに、感謝の気持ちでいっぱいです」と話している。

 問い合わせは、同部電話0465(32)6823。

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