【NBA】ラプターズ・渡辺は強みの守備で「最後の砦になっている」 KJ松井が激賞

渡辺(左)は守備の「最後の砦」としてチームに貢献(ロイター=USA TODAY)

【KJ松井のCatch&Shoot(52)】米プロバスケットボールNBAトロント・ラプターズの渡辺雄太(26)が目覚ましい活躍を見せている。1月29日(日本時間30日)のサクラメント・キングス戦で自己最多の12得点を挙げると、次のオーランド・マジック戦(31日=同1日)でも11得点。相手のエース格の選手と堂々と渡り合うプレーに、本紙バスケット評論のBリーグ・京都ハンナリーズ松井啓十郎(35)は「守備で最後の砦(とりで)になっている」と評価した。

渡辺選手はプレータイムも伸び、その中身も勝負を決める場面で使ってもらったりと、ラプターズに欠かせない選手になってきました。

強みは、ディフェンスでスイッチした際に誰にでも付けることです。「スイッチ」というプレーは、例えば小さい選手が大きい選手を守らなければならない状況をつくり、そのサイズ差(スピードの差の場合もあります)で攻撃側に有利な状況にすることですが、渡辺選手には機動力と長いリーチがあるので、スピードのある選手でも大きい選手でもしっかり守れる。

マジック戦ではオールスター出場経験もある211センチ、117キロのセンター、ニコラ・ブーチェビッチ(30)のシュートを鮮やかにブロック。こうして守備でしっかりと「最後の砦」になれています。また、積極的にオフェンスリバウンドに飛び込むのも持ち味。これは取れなかった時に相手の速攻に対応できないリスクもあるのですが、渡辺選手は豊富な運動量でしっかり守備に戻っています。

さらに、周りがクリエートしてくれたスリーポイントシュートを確実に決めているのも大きいです。主力選手が“お膳立て”したチャンスを外すようだとパスが回ってこなくなりかねませんが、マジック戦では3本すべて成功。そうなればいいパスが来るようにもなります。

ワシントン・ウィザーズの八村塁選手(22)は新型コロナウイルスの感染防止規定で試合に出られない時期が続きました。1月29日(日本時間30日)のアトランタ・ホークス戦から復帰しましたが、まだ本調子ではない感じですね。

好きな時間に練習できないなどで、ルーティンをつくるのが難しかったようですが、その条件は皆同じ。31日(同1日)のブルックリン・ネッツ戦は終盤の大逆転につながるスリーポイントシュートを決めました。復帰後もスタメンで使ってくれるチームの信頼に応えるためにも、早く調子を戻してほしいですね。

☆まつい・けいじゅうろう 1985年10月16日生まれ。東京都出身。バルセロナ五輪の「ドリームチーム」を見た父親の勧めで小学1年からバスケットを始め、6年時にはイベントでマイケル・ジョーダンと1対1で対戦した。高校から米国に渡り、コロンビア大学では日本人男子で初めてNCAA1部でプレー。卒業後は帰国し、今季から京都に加入。ニックネームの「KJ」は、米国で「けいじゅうろう」を覚えてもらいにくいために使い始めた。188センチ、83キロ。

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