三菱パワー ボイラー製造 長崎に集約 広島・呉から40~50人異動

 三菱重工業は4日、子会社三菱パワーの呉工場(広島県)のボイラー製造機能を長崎工場(長崎市)に集約すると発表した。世界的な脱炭素化の流れで石炭火力発電の新設工事が激減したのを受け、拠点再編を前倒しした。2022年度末までに社員40~50人が長崎に移る。
 ボイラーは火力発電プラントの主要機器で、石炭などの化石燃料を燃焼させて高温高圧の蒸気を発生し、発電用蒸気タービンに供給する。現在、三菱の国内ボイラー事業は長崎と呉で一体運営している。国内外で新設需要の大幅な縮小が今後も予想される一方、既設発電所の環境性能や発電効率の向上ニーズは高まっており、経営資源の選択と集中を進める。
 新設とアフターサービス(改造など)の製造機能、新設工事の設計・建設機能を長崎に集約。呉はボイラーサービス事業と環境プラント事業にシフトし、両工場とも競争力強化を図る。
 4日の三菱重工第3四半期決算会見で、三菱パワーの河相健社長は「市場環境が激変し、両工場で賄う十分な工事量がない」と説明。生産能力が呉(年間230万キロワット)より長崎(同590万キロワット)が大きい点を挙げ、「(長崎は)今後に対応できる」と述べた。扱っているボイラーの燃焼方式が違うため、設備や40~50人の社員を長崎に移すとした。この生産集約を含めた構造改革で約50億円の固定費削減を見込んだ。
 一方、会見に同席した三菱重工の小沢寿人最高財務責任者(CFO)は、長崎造船所香焼工場の売却を含めた活用検討について「(大島造船所と)鋭意交渉中」と述べるにとどめた。


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