コロナワクチン「希望の星」 長崎大熱研・森田所長 気を緩めれば第4波も

新型コロナウイルスやワクチンについて語る森田所長=長崎市坂本1丁目、長崎大熱帯医学研究所

 新型コロナウイルス感染の「第3波」が長崎県内で一定落ち着き、県は長崎市への緊急事態宣言を解除、県下全域への特別警戒警報も長崎、佐世保両市だけで延長した。ウイルス学を専門とする長崎大熱帯医学研究所(長崎市)の森田公一所長(64)に推移を振り返ってもらい、展望を聞いた。
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 -昨春以降の第1、2波と冬場の第3波の違いは。
 1、2波では都市部の流行地から来た人が長崎で発病したり、2次感染を起こしたりしたが、保健所がその都度、濃厚接触者を特定して食い止めた。3波では確実に市中感染が起きた。ウイルスのゲノム(全遺伝情報)解析から分かった。県外に出ずに同じ系統のウイルスに感染した人が長崎市のあちこちにいた。
 -忘年会などで感染した人がいた半面、感染の心当たりがない人も増えた。
 例えば、ウイルスに汚染された手すりを触った手を口や目、鼻に持っていくなど、ちょっとした不注意で感染したのではないか。それも社会にウイルスがまん延した結果だと思う。
 -感染者の5人に1人が他人にうつすといわれる。
 唾液1cc当たりでウイルスを100万個や1千万個持っている人がいれば、数百個だけの人もいる。数日でウイルスが消えた人の一方、長くたくさんウイルスを出す人もいる。感染源としては大きく違う。
 -世界的に進むゲノム解析で他に分かったことは。
 大まかに、中国の武漢で確認されたウイルスが2系統に分かれ、その一つが欧州で3系統に分かれた。日本ではやっているのは欧州型の一つ。ウイルスは世界中で変異しており、特に感染力が強いとされるのが英国、南アフリカ、ブラジルで確認された変異株だ。
 -マスクや3密(密閉、密集、密接)回避などはいつまで必要か。第4波は。
 ウイルスは、これだけ広がり、無症状者からの感染も多いため、ずっと生き残っていく可能性は高い。ワクチンが一番の希望の星だ。接種や治療薬が広がれば、あまり怖がらなくてよくなるかもしれない。接種が広がらず、人々の気も緩めば第4波はもちろんある。
 -ワクチンの副反応を懸念する人もいる。
 ワクチンを打たないリスクも考えないといけない。日本はリスクゼロが求められがちで、ワクチンで1人でも死亡すれば中断になるかもしれない。広く受け入れられるかは未知数だ。


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