楽天・田中将 ブルペン調整でもぬかりなし 審判の〝個人情報〟入手スタート

ブルペンでの投球を終え、満足げな表情の楽天・田中将(左)

楽天・田中将大投手(32)は9日にチーム合流後2度目のブルペン投球を行い、下妻貴寛捕手(26)相手に54球を投げ込んだ。主に直球、変化球の投げ分けや軌道の確認が中心だったが、その中で注目されたのが積極的に行った球審へのストライクゾーンの確認。日米の微妙な違いを把握する意味合いもあるが、どうやらシーズンに向けた田中将なりの「駆け引き」が早くも行われているようで…。

ブルペン投球中と言えば、投手は投球に集中するため声を発することは少ない。捕手とのコミュニケーションもブルペン投球後が基本。ところが、この日の田中将は違った。力強い剛球がストライクゾーンの四隅を突くたびに捕手の後ろに立つ審判に確認。「今のボール?」「低い?」「(ストライクゾーンから)外れてますか?」などと積極的に問いかけた。

2013年の公式戦24連勝を含め日本球界7年で通算99勝。実績は十分とは言え、田中将にとって今季は8年ぶりの日本でのプレーとなる。日米でストライクゾーンが微妙に異なるため、その違いを再確認したかったのだろうが、審判への「声掛け」の意味合いはそれだけではない。今シーズンを見据えた田中流の「駆け引き」が始まっているとも読み取れる。

ストライクゾーンは一般的に範囲が決まっているものの、審判によって多少の誤差があるのは周知の事実。一流投手はそれを承知で球審によって投球スタイルやストライクゾーンを微妙に合わせていくことも珍しくない。人一倍研究熱心で洞察力に長けると言われるマー君のこと。24連勝した13年シーズンなどは審判の特徴やクセを完璧に把握していたことで最高の結果が得られたはずだ。だが、8年ぶりとなる日本復帰となれば、過去のデータや知識だけでは足りない。7年間のメジャー生活の間に審判団には新顔も加わっている。だからこそこの時期から球審に積極的に声を掛け、各審判の判定基準を模索しているのだろう。

本人はこの日コメントを残さなかったが、石井監督が気持ちを代弁するようにこう強調した。

「(ブルぺンの田中将の確認作業は)ストライクゾーンとか審判の確認をしたりとか。それを含めてのストライクゾーンの確認なので。あとはやはり審判も人間。選手も調整していくように、審判もオープン戦の中でストライクゾーンをもう一度調整というか確認作業に入っていくので」

自身の調整過程で審判を丸裸にし始めている田中将。キャンプは第2クールが終わったばかりというのに、希代のエースは早くも開幕後を視野に入れている。

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