コロナ増殖抑制のアミノ酸 長崎大が特定臨床研究 コロナ治療薬に期待

 長崎大と製薬会社ネオファーマジャパン(東京)は、納豆などの発酵食品に多く含まれ、試験管内で新型コロナウイルスの増殖をほぼ完全に抑制する効果を確認した天然アミノ酸「5-アミノレブリン酸(5-ALA)」について、コロナ感染患者に投与する特定臨床研究を10日までに長崎大学病院で始めた。
 同大によると、コロナ感染者から採取したウイルスを試験管内で培養。一定濃度以上の5-ALAを投与したところ、ウイルス増殖をほぼ完全に抑えることを確認し、昨年10月、特定臨床研究に入ることを明らかにしていた。3月末までに計50人を対象に進める。
 抑制効果は国際学術誌(電子版)に今月8日、掲載。メカニズムの解析はこれからだが、その一つとして新型コロナウイルス表面にあるとげ状の「スパイクタンパク質」に5-ALAの「最終産物」が付着し、ウイルスの人の細胞への侵入を阻害することが考えられるという。

 5-ALAは健康食品や化粧品などにも使われている。一方で、日常の摂取量では新型コロナウイルス感染症への効果は期待できないという。同大はコロナ感染患者への治療薬に活用できないか、昨年3月から研究を進めていた。
 予防薬としても効果が期待され、同大大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科長の北潔教授は「飲み薬として、効率的に幅広い集団に安全かつ容易に処方することができる。特定臨床研究で効果を確かめ、治療薬として完成させたい」と話している。


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