【解説】長崎市21年度当初予算案 交流人口拡大 人口減も課題

 長崎市の新年度当初予算案などでは新型コロナウイルス感染予防・社会経済対策費がかさんだ。コロナ流行に伴う景気低迷で税収が減る中、厳しい財政運営を迫られる。交流人口拡大の起爆剤と位置付けている出島メッセ長崎の開業も11月に控えるが、コロナの影響がどう及ぶかは「もう少し時期が迫らないと分からない」(田上富久市長)のが現状だ。
 市長は予算編成について「これまで積み上げてきた基金も活用しながら、市民生活にできる限りマイナスの影響が及ばないようにした」と説明。腐心のほどがうかがえる。中小事業者への一時金支給や感染防止対策に手厚く予算配分し、まずは暮らしを支えることを重視した格好だ。
 一方、コロナ禍で埋もれがちな人口減少対策も引き続き待ったなしだ。総務省が1月に公表した2020年の市の転出超過数(日本人)は2025人と全国市町村でワースト2位だった。3年連続のワースト1位は回避したとはいえ、依然深刻だ。
 新年度は、引き続き移住推進や子育て環境の充実などを強化する。コロナ対策に加え、人口減対策、さらには交流人口の拡大。成果を出せるか、市長の手腕が問われる。

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