新潟県が令和3年度当初予算(案)を発表、今年度の補正含め1兆4,651億円で「かつてない規模の予算」(花角知事)

新潟県の花角英世知事

新潟県の花角英世知事が17日、令和3年度当初予算(案)を発表した。一般会計の予算は、令和3年度当初予算と令和2年度冒頭補正予算を「15ヶ月」予算として一体編成し、1兆4,651億円。コロナ禍対策と同時に、コロナ後の分散型社会の構築や環境への配慮など長期的課題の解決も踏まえたものとなり、花角知事は会見にて「特殊な事例を除いて、最も大きな予算規模となっているのではないか」とコメントした。

令和3年度一般会計予算の当初予算規模は1兆4,074億円で、令和2年との比較で15.4%の増。「15ヶ月」予算としては1兆4,651億円で、令和2年度・令和1年度補正予算の合計との比較では17.7%の増となった。新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業の事業継続のための融資が予算増の大きな要因となっている。また、予算のうち新型コロナウイルス感染症対策関連の予算は2,864億円。

予算編成にあたっては、コロナ対策と経済支援のために予算を切れ目のない「15ヶ月」予算とし、新型コロナの感染拡大防止と社会経済活動の両立、アフターコロナを見据えた長期的な課題解決、県の財政の改革を主な柱とした。

歳入に関しては、県税と贈与税の合計が2,808億円で、令和2年度と比較して△279億円の減(△9.1%減)となった。一方で、普通交付税と臨時財政対策債の合計は3,068億円で、令和2年度から346億円の増(12.7%増)となった。それに伴い財源対策的基金の取り崩しは0円に、県債管理基金は20億円と、令和2年の55億円から大きく減少した。花角知事は「地方交付税に大きく助けられたところがある。それでも赤字には変わらないが、(例年歳入が増え歳出がある程度減ることを考えると)収支償うところに近づいてきている」とコメントする。

新型コロナへは感染対策と経済活動の両立を

新型コロナウイルス対策の新たな取り組みとしては、「ワクチン接種体制の整備」に8,854万円が割かれた。

また、経済活動の維持のために新たな取り組みも計上。前回の売上減少要件よりも緩和された「新型コロナウイルス対策事業継続応援金(第2弾)」に24億7,789万円、飲食店へ対する事業継続支援金に9億8,838万円、中長期的なビジネスモデルの転換に取り組む中小企業への支援「新規事業チャレンジ支援事業」に10億5,261万円など。「新規事業チャレンジ支援事業」は、例えば、飲食店がデリバリーを始めるなど、国の実施する支援策よりも小規模な店舗・企業への支援が可能だという。

また、活動の場が減少している文化芸術団体などの活動を支援するため、「文化芸術団体・イベント等マッチング事業」(1,200万円)なども計上した。

令和3年度は社内ベンチャーの支援も

新潟県の花角英世知事

花角知事が就任以来注力してきている起業・創業支援に関して令和3年度は、「企業内起業・第二創業推進」(4,592万円)へ特に力を入れるようだ。「(起業をする場合)母体となる企業で社内ベンチャー的に育てられた方が、成功する確率が高い。県内には体力のある企業も多く、そこから新しい事業・新しい動きを生み出すように促すことが新しい企業を生み出す近道になるのではないか、と期待を持っている」と花角知事は話す。今後は、同じ志を持つ経営者などとも連携し、県内企業へ対して「社内起業家塾」を実施するなどしていくという。

また、新たな事業としては「事業承継マッチング」(600万円)や、高等教育期間と連携したインターンやビジネスコンテストの実施を通した人材発掘・育成を行っていく。

一方、移住者やUターンへ向けた支援に関しても新規事業を発表。これまで東京都に移住相談窓口は3箇所存在したが、連携ができていなかったことを問題に挙げ、それらを暮らし・仕事の両面で支援できる総合相談窓口として一体化し伴走型支援を実現していきたい考えだ。

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