谷川俊太郎、根岸吉太郎、町田康、辛酸なめ子、吉田戦車ら 「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」鑑賞コメント&イラスト

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川を挟んだ隣町と”朝9時から夕方5時まで”規則正しく戦争をしている架空の町を舞台にした映画「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」を鑑賞した、著名人のコメントやイラストが公開された。

詩人の谷川俊太郎は、「微笑でも苦笑でも哄笑でもない無音の笑いが途切れない。意味に囚われない人間存在の面白さ」と、本作の独特の笑いについてコメント。映画監督の根岸吉太郎は、「ああ、この映画をカウリスマキに観せたい。テリー・ギリアムに観せたい」と、オフビートな感覚や独自の世界観が共通する映画監督の名前を出してコメントしている。漫画家の吉田戦車は、食堂と定食のイラストともに、「この夢のような町で 働いてご飯を食べて眠る毎日をくりかえしたい(でも戦争は嫌)」とコメントを寄せている。

「きまじめ楽隊のぼんやり戦争は、町境である一本の川を挟んで「朝9時から夕方5時まで」規則正しく戦争をしている二つの町を舞台に、音楽隊に異動を命じられた真面目な兵士の主人公たちを描いた作品。いつの時代でもない架空の町の小さな社会が、現実の日常と地続きにあることをユーモアたっぷりに映し出す。監督を務めるのは、国際映画祭で受賞を重ねてきた池田暁。本作が初の劇場公開作となる。第21回東京フィルメックスでは、日本人監督作品初の審査員特別賞を受賞した。

【コメント一覧】

微笑でも苦笑でも哄笑でもない無音の笑いが途切れない。
意味に囚われない人間存在の面白さ。
—— 谷川俊太郎(詩人)

ここにある笑いは、おこがましいが別役実や私が書く作品の質にも似ているが、
きわめて映画的に美しく描かれるとき、それは小津安二郎にも見える。
けれど、というか、だからこそ、きわめて不気味な人間たちの住む世界のグロテスクな笑いになる。
新しい毒をもった喜劇だ。
—— 宮沢章夫(劇作家・演出家・作家)

空前絶後、監督独自の世界が映画を埋め尽くしている。
ああ、この映画をカウリスマキに観せたい。
テリー・ギリアムに観せたい。
—— 根岸吉太郎(映画監督)

落語で例えるなら、四代目春風亭柳好師匠の【道具屋】。
背筋が凍るほどの才能。
得体の知れない面白さ。
—— 瀧川鯉八(落語家)

池田暁の作品は現代の日本映画の中でもユニークで、とてもスペシャルだ。
科学的ともいえる精密さで、たどたどしいトランペットの音色の中に、笑いと痛みの中間点を見つけ出す。
—— トニー・レインズ(映画評論家)

今の日本映画のエアポケットに、
いきなり凄いものが飛んできた!
知らない場所や人間のリアルを想像すること。
自分の頭と心で考えること。
この映画は全世界に必要な一本だ。
—— 森直人(映画評論家)

善も悪も、すべてが美しかった。
言葉と景色に魅了された。
この戦争は俺らの心のなかにある。
この映画を観てよかった。
—— 町田康(小説家)

テッテ的な反戦映画誕生。
おかしな世界をツッコミモードで観ている内にジワジワと現実世界の今とシンクロしていることに気づきゾッとする。そんな稀有で効果的な反戦映画。
—— 倉本美津留(お笑い作家)

静かに過激によく作り込んでるなと感心しました。
日本にはまだまだ面白い顔の俳優さんがいっぱいいるということも気づかされました。
ぼんやりしている今の自分にチクチク刺さる映画でした。
—— 山下敦弘(映画監督)

僕は子供の頃から映画が大好きだった
撮影現場で働く人たちを想像したり
編集作業を考えると映画はもっと楽しくなった
この作品の現場は盛り上がったに違いない
出来上がった作品には スタッフの笑顔が隠れている
見終わると 毎日の自分の暮らしがふと不安になる
そして 歩き方もおかしくなる
—— 久米宏

人々が目的も知らずにルールを守る世界において、社会を風刺するなら戦争を舞台にするのが最適だ。
ポーカーフェイスで放たれるユーモアが、ドキュメンタリーよりも真実味を感じさせる。
—— ジュリアン・ロス
(ロッテルダム国際映画祭プログラマー)

通がきかない不器用な人々への慈愛の情が芽生え、繰り返される会話や音楽が次第に病みつきに……。
この世界観が不思議と心地よいのは
日本人に多いまじめなA型だからでしょうか。
—— 辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)

世界観に戸惑いながらいつしか癖になっている。
現代日本に生きている私たちにとって、
押されると痛いツボが映画の隅々にひそんでいる。
—— 井上荒野(小説家)

この夢のような町で 働いて
ご飯を食べて眠る毎日をくりかえしたい
(でも戦争は嫌)
—— 吉田戦車(漫画家) ※イラストも

一見奇妙で、趣味的な映像に見えるかもしれない。
だが次第にこれは多くの日本人にとって
「よく見た風景」であることに気付くでしょう。
—— ドリヤス工場(漫画家) ※イラストも

ユーモアのわからない人間が戦争を始めるという言葉がある。
ユーモアなき世界をユーモアたっぷりに描いたこの作品は、
つまり今こそ必要だ。
—— 信濃八太郎(イラストレーター) ※イラストも

きまじめ楽隊のぼんやり戦争
2021年3月26日(金)より、テアトル新宿ほか全国順次ロードショー!
配給:ビターズ・エンド
©2020「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」フィルムプロジェクト

© 合同会社シングルライン