特定の政党を支持する有権者は、実際にその政党に投票しているのか?(データアナリスト・渡邉秀成)

2021年の本年は衆議院選挙が控えています。
どのタイミングで選挙が執行されるかは現時点ではわかりませんが、各政党は衆議院選挙に備えて各種対策をしていると思われます。

選挙では無党派層の動向がかぎを握ると言われますが、大切なのは選挙運動期間に入る前に、どれだけ票を固めることができるのかということも、より重要なこととなります。

実際、有権者の多くは選挙運動期間に入る前に投票先を決定していますし、期日前投票する有権者の割合が増えている近年は、事前にどれだけの票を取りまとめられるかが大切になります。

そして、選挙において政党ごとに得票率が高い地域、低い地域があることは知られています。

直近の国政選挙である第25回参院選で、政党ごとに得票率が高い地域について市区町村別に塗り分け地図がこちらになります。色が濃いほど各政党の得票率が高い地域となります。

これらの色分け地図を見ると過去から現在まで作成していくと、政党ごとに得票率が高い地域は、おおよそ決まっていることを確認できます。

地域ごとに地元の有力者がおり、それに連なる人の集まり等が引き継がれて、
現在に至ることが多いので、政党ごとに選挙に強い地域が存在するのかもしれません。

このように期日前投票の割合が増えてきていることや、地域ごとに有権者が投票する政党がある程度決まっているので、選挙は事前に票をまとめることが大切となりますが、支持政党を持つ有権者が実際に支持政党に投票する割合は、政党ごとに異なるものなのでしょうか?

今回は支持政党をもつ有権者が、実際に支持政党に投票している割合と、どの政党に投票したのかについて、公益財団法人 明るい選挙推進協会のデータをもとに観察していきたいと思います。

では、衆参国政選挙において支持政党を持つ有権者が実際に投票した政党はどこであったのか、を観察してみます。

衆議院選挙、参議院選挙、それぞれの支持政党を持つ有権者が、実際に支持政党に対して投票した割合をグラフ化したものが下記になります。

全体的に見て公明党、日本共産党を支持政党に持つ有権者は実際に支持政党に投票していることがわかります。

それ以外の政党支持者では、公明党、日本共産党ほど支持政党に投票していないようにも見えます。

2021年の衆議院選挙では、昨年からの新型コロナウィルス対策等での政府与党の動きがどのようなものであったのかが、有権者の記憶に残っているので、各有権者が支持している政党に実際に投票するのか?このあたりが今回の衆議院選挙では特に影響してきそうです。

実際、有権者が投票の際に考慮する内容として、景気対策、医療、年金関係といった、生活、健康に関するものが上位に来ます。

新型コロナウィルス対策は、これら有権者の関心の高い項目と直接重なり合う事項が多いので、これまでの各政党の行動と実際の結果、そしてこれからどうなるのかという、見通しを示せるのかが、選挙結果に大きく関係してきそうです。

今回は支持政党をもつ有権者が、実際に支持政党に投票した割合がどの程度であったのかについて、観察してきました。

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